74話 後始末は嫌い。詳しくは今晩LAXEで
「相変わらず気色わりぃなそれ」
メッサ―は手をハンカチで拭いている吸血鬼店長にそんな言葉をかける。
「人じゃありませんからね」
吸血鬼はそんなことを言い、灰となった怪物を見る。
「引き揚げましょう。怪物退治なんか面白くないし、その後始末はもっといやだ」
「置いとくわけにはいかんだろう」
メッサ―がそういった時、通りの向こうからぞろぞろと人の足音。
来たのはジェシカとドワーフ含めた自治会の人間、あと町の守衛と西の部隊の人間に冒険者。
避難した住民と合流し、二人だけ残すというとんでもない判断を聞いて急いで駆けつけてきた。
「モンスターは!」
ジェシカの人間の問いかけに、広場の真ん中の灰を指さす吸血鬼。
「倒したの?」
「まぁそんなところです。ほかのモンスターは」
逆に質問をするメッサ―。
「確認できたのは4匹です。二匹は我々で討伐、一匹は冒険者が討伐したのですが」
「一匹取り逃がしたわけか。ツメが甘い仕事はだめだよ。君たち」
守衛の人間の答えにメッサ―はそんな忠告をしたうえで
「最後の一匹はそこで灰になった。つまりこれで君らの仕事も終わり、あとは後始末ということだ。まぁ頑張りたまえよ」
そう言ってふらりとどこかに消えていった。
「私も店の手配があるので」
「それが許されると思うのか」
あの人、面倒ごとから避けるために逃げたな、と気づいた吸血鬼も同じよう逃げようとしたがドワーフが止めた。
まぁ当然である。モンスターを倒したなら倒したでいろいろと書類とか質問とかがあるわけで、逃がすわけにはいかない。
場所は変わって屋敷。
冒険者たちは守衛や西の部隊の応援に出ていったから人はほとんどいない。
残っていたのは頭から返り血を浴びた狼人間とピーター、そしてヴァンペルト。
彼らは一匹倒したのだ。多少休憩しても怒られない立場。
「しかしやつら、どこから出てきたんだ」
「それもそうですが、あの爆発はなんだったんでしょうか」
水場で返り血を洗い流している二人の会話。
「細かいことはいいじゃない。一匹倒せば金賞もらえるわ。ファミリーのメンツも立ってみんな満足じゃない」
一応女性、という事で二人の視界の外で血を洗い流していたヴァンペルトはそんな返事。
「気にならないんですか?」
「気にするような女に見える?」
なんともざっくぱらんな返事。
「お前らしいよ」
狼人間はあきれて笑ってしまった。
「楽しそうな話をしてますね」
そこに現れたのはN。
その隣にいるアニー。
「Nさん。いままでどこにいたんですか。大変だったんですよ」
けがをしてないという事は逃げていたのか、しかしこの人、ダンジョンでも怪我一つなく立ち回っていたからなぁ。そんなことを考えながらNの安全を確かめるピーター。
しかしNの返答を聞く前に
「おい、アニー大丈夫か!けがは」
「これは返り血だから」
「心配させないで、ほらこっち来て。洗ってあげるわ。早く」
頭から返り血を浴びてきれいな金髪にこびりついてしまっているアニーを見た狼人間とヴァンペルトの声にかき消されてしまった。
アニーは大丈夫大丈夫というが、二人は話を聞かず大丈夫かケガはないかと箱入り娘の安否を気遣う親のように立ち振る舞う。
その光景を見たNは微笑ましいものを見るような笑みを浮かべた。そしてピーターに返事。
「大丈夫ですよ。詳しくは今晩LAXEで」
そういってまたどこかに去っていく。
「事情くらい話してくださいというか、ギルドの人間に報告は?」
「適当なことを言っておいてください」
「そんなの通りませんよ!!!」
その問いかけを聞く前に彼はどこかに消えていった。
そろそろ締めモードに入っていきます




