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72話 最後の一匹

 仲間と運よくはぐれた最後の一匹は町の中を疾走していた。

 目的はあるがそこまでの道は分からない。しかしこうなれば衝動にまかせて走り回るしかない。そういう運命。

 そして暗がりからそれを見る緑の小鬼。彼は走りまわるそれをみて、空に向かって甲高く啼いた。


「守衛も冒険者も大したことないですね。取り逃がすなんて」

「まぁそういうな」

 ゴブリンはメッサ―が差し入れとして買ってきたパンを貰ってまたどこかに消えていった。

 ほかの住民たちは困惑している。どこに逃げればいいんだろうか。

「自治会の皆さん、住民の避難誘導をお願いします。住民の皆さんは彼らにしたがってください。いいですか」

「モンスターの足じゃ追いつかれるわ」

 自治会会長の判断に対して元冒険者の経験からジェシカはそう主張した。

 非武装の一般市民の集まりだ、移動もそこまで早くはない。

「腕っぷしが強いやつで時間を稼ごう」

「力自慢でどうにかできるわけないだろう馬鹿。モンスター程度俺たちがどうにかする」

 ほかの意見が出そうになった時、メッサ―がそう断言した。

「俺たちってまぁ私らってことですよね」

 普通は受け入れられない判断。

 しかし不思議な魅力があるメッサ―と、人ではない吸血鬼の二人。

 だからなぜか、その意見が通ってしまった。

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