67話 彼らの望み
「何やったんですか」
爆心地の一番近くにいて一番衝撃を受けたアニーとN、馬小屋から飛び出してできるだけ遠くで伏せた。
それでも耳鳴りがする。
馬小屋はなんとか無事だがそれは地下で爆発させたからであって、馬小屋の中で爆発させたら吹き飛んでいただろう。
「人からのもらい物です」
だから威力のほどは知らない。足止めに使える程度だと思っていたが。
こんなものをギルドで使おうとしたのか、と自分で反省。
「とにかく逃げましょう」
「危ない」
破裂音と地下からの衝撃で驚いたのだろう。
ウマが脱走し扉から飛び出してきた。
素早く察知してそれを避けるためにNを押し倒すアニー。
二人仲良く地面に倒れる。
「大丈夫ですか」
「大丈夫ですが」
近づく二人の顔。イケメンと美少女だ。絵にはなる。
まぁ上にいる金髪の美少女は頭から返り血を浴びていて、金髪が赤く染まっているというのでロマンテックとは言えないが。
Nは押されるように顔を地面につけて、爆発とは違う地響きを察する。
「来ます。逃げましょう」
その音を察して、Nはアニーを押しのけるように立ち上がり、二人で走り出した。
怪物たちは死んだ仲間の屍を乗り越えて、長い長い階段を駆け上がりついにこの地に降り立った。
彼らを閉じ込める檻はない。
あるのは完全なる自由と、人間が与えてしまった力だけ。
そして彼らは、人にはわからぬ本能と哀愁をもって、自らの住処へ行進を始める決意をした。
つまり愛しき薄暗いダンジョンの地下である。




