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39話 一週間後の話

 一週間後

 ナイトクラブLAXE


「旦那。例のゴブリン殺しを殺した奴が捕まったらしいっすよ」

「例のとかいうほど俺は興味もってないんだが。それが」

「いや、みんなゴブリンの女に殺されたって話してたんっすけど」

「人妻に手を出して旦那に殺された。なんて話は面白くないぞ。色男にはつきものだ」

「いんえ、なんでも牛の獣人の男に手を出してたらしく、そいつに殺されたらしいです」

「確かに驚いたがコメントに困るなそりゃ。開店準備できたか」

「できやした。店長は今日お休みなんでよろしくおねがいしやすってことです」

「店長、最近近所の女に熱を上げて攻勢をかけてるらしいっすね」

「無駄だしやめろって言ってるのに。あの女は世間体で隠してるが女のパートナーがもういるだろう」


 ナイトクラブLAXEは今日も盛況。

 今日は新人の女性歌手がムード満点のカバー曲を歌う

 素人でも年寄りでも踊りやすいゆったりとした有名な曲。いつもは座って酒を飲んでカードやってるだけの中年の常連達も相手を見繕って踊りに参加している。

 ライブ感マシマシのいつもと雰囲気はまったく違うが、これはこれでたまにやるにはいい。こういうことをやって参加者を増やすのもいいだろう

「歌はいいけど華がないわよねぇ。うちに来たら化粧なんか教えて上げるのに」

 男を見繕えなかった女、年齢とクラブに響く歌に合わないショッキングピンクのどぎつい色の服をしてる、がカウンターで休むオーナーに話しかける。

「その趣味は人を選ぶだろう」

 オーナーはそういってバーテンに酒を一杯持ってこさせる。

「最近ナンパの成功率が低いのよ。なんでかしらねぇぇ」

「むしろその服装で成功率高いのか?」

 昼間見たら正直話しかけたくもない。そんな服装。

 しかしここはクラブLAXE。そのくらい許される。

「もう、オーナーほどじゃなくてもモテモテなのよ」

 そういってけらけら笑う女を見るに、服装を補う性格の良さがあるとは思ってる。

 でもまぁオーナーの趣味には合わない。意外とというかがっつり面食いなのだ。できれば性格と容姿の両方そろっていてほしい。

「誰か紹介してくれない?」

「誰かってねぇ。その趣味は人を選ぶでしょう」

 そう思ってクラブを見渡すと、久しぶりにみた顔が一人二人。


「メッサーさん」

 ふらりと現れたのはNだ。

「あら、めっちゃかわいい子ね。いいかしら?」

「用事があるみたいだからだめ。後ろので我慢しろ」

 うしろのそれ、というのは一緒についてきたピーター。

「うーん。まぁいいわ。いくわよぉ」

「え、っちょい、誰、というかたすくてくんなまし」

 曲は少しアップテンポな物に変わっている。

 さっきのが入門者向けなら今度はちょっと上達した初心者向け。

 けばけばしい女に引きずられてピーターはダンスフロアに連れ去られた。


「えっと、大丈夫でしょうか」

「さぁ、まぁせいぜい一夜を共にするだけだろう」

 いきなり連れていかれたピーターを見捨てた、助ける暇もなかった、Nの疑問にオーナーは気軽に答える。

「はぁ、まぁ、いいでしょう」

 助けに行くのもな、と思い無事を祈りながら話を進めた。

「ちょっと頼みごとが」

「もうやだぜ。お前と付き合っていいことがねぇ。初めてあったときは酔っ払いに銃向けられたし、次は強盗だろ、最後にゃ酒場の喧嘩にあれだ。ここまで続くとお前のせいとしか思えん」

 メッサーの正直な感想。

「そういえばジャンヌファミリーのほうは」

「お前冒険者なんだから俺に聞くなよ」

 普通は逆だ。

「まぁいいか。ボス含めて死んだ連中の集団葬はこの間終わったよ。ファミリーは解散。話では残った人間で冒険者を続ける連中はギルドの手配でほかのファミリーに行くらしい。ま、いつものことさね」

 一つのファミリーがつぶれればほかのファミリーに吸収され、それが大きくなれば取り分とか人事とかでもめて分離する。

 この街でずっと続いてきたことだ。

「物事はなるようにしかならんのだ」

 メッサーもそれは知ってる。

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