28話 冒険といえばダンジョンでしょ
3日後
クラブ「LAXE」
「ゴブリン殺しが死んだらしいっすよオーナー」
「まるで知ってて当然みたいに言われてもこまるんだが、誰だそいつは。ゴブリン殺しまくる殺人鬼か何かか」
「いんや。この界隈きってのモテ男のゴブリンで、何人もコレがいるって伝説がある男です」
「ゴブリン殺しってレディキラー的なあだ名か。そいつが死んだってどうして」
「いや、話じゃ女の一人に腹さされたらしくて。痴情のもつれいう奴ですな。裏道で死んでたらしいっす」
「ほぅ。それで、俺になんでそんなことをいうんだ。予想はつくが聞いてやろう」
「オーナーも気を付けたほうがいいっすよ」
「余計なお世話だ。店を閉めるぞ」
ダンジョン前
LAXEの店が閉まる時間。
空がまだ薄暗い時間帯、ダンジョンの前に冒険者が集まっていた。
「それぞれ手筈はわかったな」
ギルドの指示により西の大物を隊長として結成されたイレギュラーモンスター討伐部隊だ。
主に東西の組織とアナシタシアファミリーで結成され、ダンジョンが閉鎖されたため仕事がない有志冒険者やファミリー諸君が手伝う形。
「Nさん、なんでいるんですか」
予定が狂い行く当てがないため、アナシタシアファミリーに出戻りしていたピーターは有志の部隊にNを見つけて聞いた。
「いや、うちに居ても面白くないから。趣味を持たないとだめですね」
Nはそんな答え。
ダンジョン 地下三階層
「構え。狙え」
東のファミリーの面子は隊列を組みライフルを構える。
敵は目測100m先から突撃するモンスターの集団
「発砲!」
50m前後に達したところボスの発射の合図。
火薬と煙の音。
ダンジョンに轟音が響く。
「前衛。武器を抜け」
西のファミリーのボスの指示。
それに基づき各々剣や槍を抜く。
敵の数は、半分か、しかし戦意は折れてない。
隣の仲間が死んでも気にしない。それがモンスターたる所以だ。
「足が止まっている。突撃」
しかし高速で飛んでくる鉛の玉と轟音で足は止まる。
そのモンスターに向かって前衛の人間が突撃をかける。
そして勝利。負傷者は少数。彼らは無理せず後方支援の医療班による治療をうける。
「軍隊みたいな手際の良さだ」
銃砲と弓、そして魔法で遠距離から数を減らし、相手が弱ったところを前衛部隊の集団で制圧する。
個々の能力の低さと弱点を集団にすることでカバーしあい、数の暴力で怪物を打ち倒す。
個別の勝利を繰り返すことで面を制圧し撤退にも前進にも安全な道を作り出す。
「ぅおたしけて」
状況をそんな風に分析しながらNは陰に隠れてピーターに飛びつこうとした小鬼をけり飛ばした。
蹴り飛ばされて地面にたたきつけられた小鬼はほかの冒険者により倒される。
「ありがとうございます」
ピーターはそういって剣を構えなおすが
「おわってますよ」
Nの言葉。
「片付いたな。前進。武器と被害を確認。今日中に6階層まで行くぞ」
ニコライの号令。
本来はもっと時間がかかるが、今回の目的は宝物を探すことでも利益を上げることでもないのだ。
だから金がかかる銃も弓も動員して確実にすすむ。普段の冒険ではこうは行かない。
だから冒険者は死ぬ。
ゴブリンス、殺しさんに黙祷




