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24話 実力証明って意外と難しい

「ダンジョンで緊急事態がおきれば仲間を助けに行く。まぁそれをどう察知するかにもよるが。だからどこかファミリーに入っておいたほうがいいんだ。一人や数人で低階層を回って稼ぐのもいいところはあるから否定はしないがね」

 食後のコーヒーを飲んでいるとなんとなくの雑談が始まった。

 それぞれ立場や階級が違うが

「非常に耳が痛いお言葉です」

 ピーターは口が回るしメッサーは女遊びで鍛えたコミュニケーション能力がある。

 一番偉い人のニコライは失礼がなきゃ怒らない物分かりの良さがあるし、Nはあまり口を挟まないタイプとなかなかうまくかみ合って盛り上がる。

「ジャンヌファミリーの所は面倒見がいいがシステマティックというかね、うちとは違って人情味より組織を重視する所だ。よく周りの話を聞いて合わせるといい」

「やっぱりファミリー事のカラーみたいな物がありますか」

 メッサーの言葉にそりゃ当然とニコライは返す。

「俺はそんな話より君の話を聞きたい」

 そしてNに話を振る。


「8階層まで単騎で行って帰ってきたんだって言ってたが、ほんとうか」

「えぇ、まぁ、実際は記録更新の顔見世程度なので7階層ってほうがいいんでしょうが。今度8階層か9階層も狙ってみようかなと」

「それはどれくらいすごいことなんです?」

 この町に住んで冒険者相手にも商売をやってるとはいえ部外者。ダンジョンの中の話だと程度がわからない。

「昨日帰ってから調べさせたが、やっぱり単独行動だと10階層まで突撃した戦鬼が今のところトップらしい。ただあいつは考えなしに突撃して力尽きたところをファミリーに助けられた。行って自力で帰ってくるなら、まぁ経験を積んでる人間が成績だけを求めるなら普通は4階層、新人なら1階層や2階層が限度だな。凄腕や実力者と呼ばれる類の連中なら一人で5階層、6階層までって奴がいるがこの辺の階層になると4から5人のパーティーを組んでも運が向かないと不運な目に会うってこともあるからな。運も絡む」

「へぇ、やっぱり嘘ついてるんじゃないか。おまえ」

「そういわれると否定できないんですが」

 実際問題としてNのような単騎の冒険者の成果の証明は難しい。

 ファミリーやギルドで集められた冒険者たちでパーティーを組むなら、そのパーティーの意見や証言からある程度の実績の証明はできるが、単騎だと宝物やモンスターのかけら、もしくは偶然あったほかのパーティーの証言などで証明するしかない。

「4階層は行ったんだよな」

「はい。私はそこで助けてもらいました」

 しかし4階層突破というだけで充分な実力者。そんな人間が嘘をつくとも思えない。

「君、どこかに入りたいんだろう。試用期間みたいな扱いだが、うちに入ってみないか」

 この業界一山いくらみたいなよくわからん奴もたくさんいる。しかしその隙間にもっとよくわからん奴が挟まっていることがある。

 一昔前なら単騎でダンジョンに挑戦し金貨を持ち帰って街の英雄になれた。そんな連中。

「どうしましょうか」

 Nは誘いを受けてすこし考える素振りをして、メッサーに話を振った。

 この界隈のことは彼の方が詳しい。

「自分で決めろよ。まぁ悪い話じゃないとは思うぜ」

 そういう話を察して「信頼はできる」というのをニュアンスで伝える。

 自己責任。それが基本だ。

「いやでも、初対面で喧嘩した人たちと仲良く、とは行かないかなと。空気わるくなりませんか?」

「そういう話か」

 メッサーとニコライは意外な答えについ笑ってしまった。

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