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22話 面会

「あの時はありがとうございました」

 ヘルファイヤーは治安が非常に悪いが医者は意外と多い。

 パーティーで治療などを行っていた冒険者の中でもインテリ組の転職先として人気なのだ。しかしまぁ、冒険者なるよくわからない商売をやってた連中の質は安定しない。

「寝たままで申し訳ございませんが」

「いえ、無理をなさらずに」

 ピーターの兄が入院していた病院は個人経営の医院だった。一回は診察。二階は簡単な物ながら入院できる設備がある。

 シーツはきれいだが設備はふるい。こういう所はこの町だと信頼できる方。

「そちらの方は」

「俺の勤め先の、いま辞めてきたからだったか?まぁアナシタシアファミリーのボスだよ。来てくれたんだ」

「ニコライだ」

「これはこれは、こんなところで申し訳ありませんが」

 ベットの上の男は意外と、というのはどうかと思うが、元気だった。

 病院から支給された白い服。手は動くようだが足は動く気配もない。

 調子がいいことを述べるピーターと比べると寡黙な方。

「冒険者業の宿命とはいえ、同業者のこういった姿は色々とつらいものがある。困ったことがあったらなんでも言ってくれ。できる範囲で力になろう」

 そういってニコライは握手。

 初対面のはずだがここまでいう。さっきの態度などを見ると、良くも悪くも感情的、親分肌の人なのだろうというのはNの評価。

 兄弟二人はそんなこと考えず、ついさっき辞めてきたというのにこんなありがたい言葉をかけてくれるとは、とただ感激。


 そのあと二三話して、これからリハビリをする、先生はいい人で支払いを待ってくれる、とそんな話をして部屋から出ていく。

 帰り際、この医院の先生に話を聞く。

 容態は落ち着いている。これからリハビリをしたら車いすで一人日常生活が送れるくらいにはなるだろう。

 しかし足の方はもう無理だ。背中の神経がやられてしまってる。

「彼みたいな人をたくさん見てきたが、死ぬのはつらいが死ねないのもつらい。君がしっかりと支えてあげなさい」

白髪が生えかけの頭をした医者はピーターにそういった。

「先生、ありがとうございます。支払いはしっかりと行いますので」

「払わなくてもいい。というほど人徳も経済的余裕もないんだよな。まぁ少しづつでいいから。君も大変だし命がけの商売だ。無理をしちゃいけない」

 善人ではないが良心がある人。

 そんな印象をニコライは持つ。

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