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19話 説教

 翌朝


 結局二人とも店の二階に泊めてもらった。

 今から家に帰ると狙われかねない。若い連中は血気盛んだ、というボス達の助言に従った形。

「兄貴は病院にいますんで大丈夫だと思うんですが」

「さすがに酒場の喧嘩で身内狙うなんてことはしねぇだろう。というかそもそもおめぇさんは何もわるいことしてねぇしな」

 ダンジョンで助けられたので感謝したら嘘つき扱いされた。

 考えてみるととんでもない話だ。

「酔っ払いはよくわからないことで怒り出すとはいえ」

「まぁその、冒険者なんて粋がってなんぼ見栄はってなんぼですから。私も兄弟もそのせいでこうなったわけですし」

 そんなことを言いながら三人はぞろぞろと店から出ていく。


アナシタシアファミリー本部


「馬鹿野郎!!!!!!!!」

 朝も早くからボスニコライの罵声が飛んでいる。

 手には抜き身の剣。

 目の前には昨日打ち上げということでギルドで安くてうまいという評判の酒場に行き喧嘩をした、正確にはしようとしたが奇襲を受けて三人叩きのめされて相手に逃げられてそのまま帰ってきた面々。

「落ち着いてください」

 副官役がなだめる。こんなことで死人だけは出したくない。

「貴様ら一般人相手に喧嘩を売り反撃を受けた、逃げられたからって復讐だファミリーに助けをなんて甘えてるのか!!!」

 そして剣を一振りで飾ってあった花瓶をたたき割る。

「でも我々の面子が」

「御託並べるならその面をたたき割ってやろうか」

 若手の代表格がそんなことをいうがボスであるニコライはためらいなく剣をふるう気迫。

「落ち着いてください。ここで殺しはまずいです」

 副官役が目配せして古参メンバーを連れてこいと部屋の端っこでふるえていた秘書に目配せする。

 これは殺しが起こる。

「われらアナスタシアファミリーはやくざの集まりじゃねぇんだ。集まって粋がりたいなら組織から離れてやれ。あげく喧嘩の復讐に組織から人をだせだ。何様のつもりだ。なめてんのか貴様ら。その脳天に叩き込んだらぁ」

 若い連中はもう黙るしかない。

 冷や水所の話ではない。あったかい血が飛びかねない。

「辞めてください。ね。私たちが代わりにしかりつけますからボスは少し頭冷やして」

「そうですそうです。頼みますから少し落ち着いてください」

 ボスであるニコライの罵声と助けを求める秘書で事情はわからないが状態を察した面々が飛び込んできてボスであるニコライを止める。

「少し外に出ましょう」

「ボス。お客が来てますよ」

 どうにかこうにかしてボスであるニコライを部屋の外に連れ出し、ファミリーの古参メンバーの面々が説教を変わり、そして若手に当分の謹慎と店への謝罪をバツとして言い渡した。

 ボスよりは怖くないとは言え組織の重鎮たち。彼らに逆らうのも怖い。


「随分と腹の虫の場所が悪そうですね。新人の教育は大変ですか」

 アナスタシアファミリーの事務所で待たされていたNとメッサーは団員に連れられてきたニコライに声を賭ける。

 今ピーターは退団の手続き。事務方も事情は知ってるのでサクサク進める。

 しかし酒場の喧嘩だ。せいぜい説教程度だろうと思ってたが、ボスがここまで怒るとは思ってなかった。 

「はぁぁぁ」

 メッサーの顔を知っているファミリーの一人は

(外に連れ出してくれませんか。お願いします)

と手ぶりで示す。

「なんでもない。身内の恥だ」

「そうですか。でも気分は悪そうだ。これからブレンダンの酒場に昨日の会計を渡して、そいつの兄貴とかいう所に面会に行ったあと西のファミリーに渡すつもりなんですが、気分転換に一つ一緒に来ませんか。大盛と辛い物を売りにしてる変わった店があるんでそこで昼飯でもたべて、こいつ送りつけたら西の方の市でガラクタ市でものぞきましょう。いいものが並んでるなんてことはありませんが宝石なんぞよりガラクタ市に並べられる花を好む女もいる。知っておいて損はない。それにこいつの武具を一つ見繕ってやれば少しは周りの評価も変わるでしょうし、ならあなたみたいな人の評価も大事でしょう」

「そうか。でもな」

「いいじゃありませんか。あんたは偉いんだ。仕事なんぞ一日サボったっていいし、そこらの奴にやっとけって命令しとけばいいんですよ」

「あんたみたいなぼんくら店主とは違うんだ」

 ボスはカッとなると手が出やすいおっかない人だ。しかしこの捉えどころがない男としゃべってるとすこし柔らかくなった。

 不思議な物だがここはねらい目。冒険者で鍛えた直感がさえわたる。

「せっかくですからお誘いにのってはいかがですか。今日は大きな仕事はありませんし、細い事は我々だけでどうにかなりますから。それに気分転換しないと仕事にならないでしょう」


 そうですそうです。それにあいつらと顔合わせたら殺し合いになるでしょう


「そうか、お前らがそういってくれるなら一緒に行っていいか」

「いいですとも。行きましょ」

 そういってニコライの相手を引き受けるメッサー。

 ほかのメンバーは

(ありがとうございます。ありがとうございます)

と手ぶりで感謝の舞。


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