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18話 結局コネ大事

 メッサーが説明する事情は、ピーターの頭には入ってない。

 あれは西の大物、こっちは東の大物、奥はアナシタシアファミリーと同じくなんとかファミリーのボスだ。名前は忘れたがギルドの集会で見たことがある。

 話じゃ上層部は定期的によそと会合をして情報収集をしているらしいが、まさかこんな所でやってるとは。

 Nはそんなこともよくわかってない。

 隣のピーターの身がうまく割り振られればいいとだけ考えている。


「はぁぁ」

 説明を聞いたニコライはいい役がそろわなかった手札を投げ捨てて降参。

「若い連中の指導は面倒だよな」

 50代の東の大物は豪快に笑いながら少額の硬貨を場の中央にある皿に投げる。追加ベット。

「ファミリーのボスとして第一の試練だ。対応をミスると若い連中になめられるぜ」

 50代の西の大物はそういいながら同じ額を中央に投げる。コール。

「しかしそこの君は一人で五階層まで行ったのか?ほんとうに?」

 もう一人の新興ファミリーの男はNを見ながら手札を捨てた。彼も降参。

「えぇまぁ、最高記録は8階層です。入口の所で引き返したので実質7階層ですが、今度は9階層まで狙いたいなと」

「まじか?疑わしいな。よくわかってない新人が10階層まで到達したとかよくホラを吹くがよ」

 東の大物は手札を場にだす。8のペア。

「戦鬼が確か一人で10階層までいってほかのメンツに救出されたって話だろ。一人ならあれが最高記録じゃないか」

 西の大物も手札を見せる。こちらは9のペア。

 彼の勝ちだ。皿の小銭は全部彼のもの。

「もう今日はだめだなこりゃ。やめだやめ。酔いを覚ますから水をくれ」

「あきらめるなよ」

 そういって東の大物は水を追加で要求し、西の大物が皿の小銭を使って支払いをしてやった。

「こう、証明する方法がないのでどこに言っても疑われるのですが」

「そりゃまぁね。にわかには信じがたいし、ダンジョンの成果の証明なんてほかのメンバーの話か持ってきた宝物やモンスターの首で証明するしかないからねぇ。8階層まで行けば普通誰かと会うさ」

 新興ファミリーの大物はそういって奢ってもらった酒をすする。

 しかし隣に4階層でであったという証人がいる。単騎戦でそこまで進めるというだけでかなりの実力者だ。そうそう嘘はつかないはず。


「君の話も面白そうだし詳しく聞きたいが、問題はうちの若い連中のの話じゃないか」

「そうそう、少し口きいてもらえませんかね。詫びの一つ入れれば満足するでしょうし」

 ニコライは無精ひげをさすった上で、コーヒーを頼む。

「申し訳ございませんがコーヒーとなりますと厨房からになりますので」

「時間がかかる?じゃぁ俺も水をくれ。話聞く限りピーターがそこの兄ちゃんに助けてもらったから感謝を述べたら若い連中がいちゃもんをつけて喧嘩吹っ掛けたってことだろ。しかも奇襲食らって三人ノされたっていう。」

 出された水を半分飲み、残りにポケットに突っ込んであったハンカチを浸して顔を洗う。

「これが一般人ならむしろこっちが詫びいれなきゃならん。しかしまぁあんたは一般人じゃないだろ」

 ナイトクラブのオーナーで冒険者二人をのめすような人は一般人ではない。

「グレーゾーンって所ですな」

「ならわかるよな?騒ぎ立てないって確約をもらえるなら若い連中を遺恨ないように黙らせるし、その店の方にも詫びの一つ入れてあとの始末をやっておこう。そっちの二人はどうだ」

「酒場の喧嘩ですから私もそこまで大事にはしたくありません」

「お、俺もです。はい」

「二人が納得するなら私も文句は言いませんが、ピーターの奴の身の振り方を考えてくれませんかね。こうなると明日から仲良く一緒にとはいかんでしょう」

「そこはなぁ。そいつは新入りだから辞めてもらってよそに行ってもらえばいいんだが」

 ニコライはまゆをひそめて残りの三人の方を見る。

「預かってもらえませんかね」

「拾ってきた犬じゃないんだ」

 西の大物はそう返す。

 気軽に雇えなんて話はない。

「そうは言ってもね。兄弟三人で一人は死んで一人は障害持ちで、そいつの治療費を稼ぐために一人冒険者に復帰だなんてなかせる話聞かされちゃ簡単には追い出せませんよ」

 ピーターはニコライのことをよく知らないがニコライはピーターのことをよく知っている。

 新興とはいえできる限りの監督はしているということなのか、とはNの想像。

「まぁ新人枠ならうちで雇いましょう。経験者ならよくわからない新人を雇うよりいい。経験者が足りてないんだ」

「じゃぁそういう訳で、放り出す形になるがいいかな」

「い、いえ、ありがとうございます」

 ピーターも文句など言えるわけない。むしろ転職先まで見つけてくれるなら願ったりかなったり。

「一応決着だな。その酒場ってのはどこだ。若い連中がたむろしてるなら麦わら亭のあたりか」

「ブレンダンの酒場って酒場です」

 ニコライの疑問にNは答える。

 その一言に四人の顔がゆがむ。

「ブレンダンの酒場かぁ。またやっかいな所で暴れてくれたもんだ」

「あそこのオーナーが喧嘩なんか許したんですか」

「仕入れに行くとか言ってたから、留守だったんじゃないか」

「平謝りで許してくれねぇよなぁ。オーナー。店の酒融通してくれないか。高いブランデーでも包んでくれ」

 言葉は違えど四人とも「いやだなぁ」という反応

 業界でもまぁまぁな大物たちがいたずらを謝りにいく子供の反応。


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