第8話「小さな結婚式、大きな愛の誓い」
――声の人は、僕の妻です。秘密から始まった“結婚生活の真実”
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都内の小さなチャペル。
街の喧騒から少し離れた、緑に囲まれたその場所に――
今日、たった10人だけの結婚式が行われる。
新郎・神谷悠人、22歳。
新婦・結城ほのか、30歳。
出席者は、ふたりのご両親。
そして、悠人の双子の姉・美琴と詩織。
ほのかのマネージャー・古澤、事務所社長の泉。
あとは、ふたりが心から“ありがとう”を伝えたい、わずかな人たちだけ。
それは、“秘密”を一緒に守ってくれた人たちだった。
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控室。
「……やっぱり、白いドレスって、少しだけ緊張します」
「似合ってるよ、ほのか。綺麗すぎて、泣きそう」
「ふふ、じゃあ今日は泣かせるために着たってことで」
メイクを終えたほのかが、照れながら微笑んだ。
その表情は、どこか照れていて、でもとても晴れやかだった。
「今日だけは、“声優”でも“有名人”でもない、
“悠人の妻”として、ちゃんと誓いたいと思ってる」
「うん。俺も、“学生だった俺”じゃなくて、
“あなたの夫”として、ちゃんと向き合うよ」
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午後2時。
静かなチャペルの扉が開く。
純白のドレスに身を包んだほのかが、ほのかの父の腕に支えられて歩いてくる。
バージンロードの先、祭壇の前で待つのは、まっすぐ彼女を見つめる悠人。
「……本当に、ここまで来たんだね」
「うん、ふたりで」
牧師の言葉を聞きながら、互いの指にシルバーの指輪を通す。
誓いの言葉は、長くなくていい。
演出も、派手な演出も、祝電も、余計なものはいらない。
必要だったのは、“今ここにいる”という事実だけ。
「結城ほのかさん――あなたを、一生守ると誓います」
「神谷悠人さん――私はあなたの隣で、生きることを誓います」
そして――
誓いのキス。
それは静かで、深くて、
どんな舞台よりも、どんなカメラよりも、
“心”にだけ刻まれるような、永遠のキスだった。
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式が終わったあと。
控えめな食事会で、美琴がグラスを掲げて言った。
「なんかね、今やっと“結婚した”って実感湧いたよ」
詩織も微笑む。
「悠人、あんたがここまで真っ直ぐになったのって……ほのかさんのおかげなんだね」
「ううん。……一緒に並んだから、強くなれたんだと思う」
マネージャーの古澤も口を挟む。
「まさか、私があなたの“旦那”を見る日が来るとは思わなかったけど……
ま、なんか、こういうのもアリね」
社長も一言だけ、低い声で呟いた。
「――君の演技は、きっとこれからもっと深くなるよ。“本物”の愛を知ったから」
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その夜。
式のあと、ホテルの一室に宿泊するふたり。
ウェディングドレスを脱ぎ、静かな部屋で並んで座る。
「……もう、“秘密の夫婦”じゃないね」
「うん。
でも、秘密だった時間も、全部宝物だよ」
「ありがとう。出会ってくれて、結婚してくれて。
……そして、今日、隣に立ってくれて」
ほのかは目を閉じて、そっと彼の胸に額を寄せた。
そして、そっと唇を重ねる。
ふたりの間には、言葉はいらなかった。
愛を、誓いを、未来を――
すべてを唇に込めて、ただ重ね続けた。
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