特別編「姉妹たちと妻の休日、そして夜の約束」
――声の人は、僕の妻です。秘密から始まった“結婚生活の真実”
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数日後――
都内某スタジオ。
収録の合間、マネージャーの古澤がスマホをちらりと覗いた。
「……あんた、LINE来てるわよ。たぶん、プライベートの方」
「えっ、ありがとう……あっ」
画面には、ふたつの名前が並んでいた。
【美琴姉さん】【詩織姉さん】
悠人の双子の姉。
先日、初めて食卓を囲み、“家族”として認めてくれたふたり。
ほのかは、緊張しながらもやり取りを続けていた。
時折送られてくる、やたらテンションの高い絵文字付きのメッセージが、妙に嬉しかった。
そのメッセージに、こんな一文が添えられていた。
「今度、女子3人でアウトレット行かない?」
「富士山見ながら買い物しよう! 御殿場プレミアム・アウトレットとか最高じゃない?」
「……御殿場、行っちゃいますか」
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週末。
都内から少し離れた静岡県・御殿場市。
世界文化遺産・富士山を仰ぎ見る、広大なアウトレットモールの一角にて――
待ち合わせ場所の小さな公園には、私服姿のふたりの姉がいた。
「やっほー、来た来た」
「眼鏡と帽子、似合ってるね。ほのかさん、控えめにしてても目立つのずるい」
「そんな……でもありがとうございます」
「今日は“義姉さんたち”と一緒ってことで、思う存分甘えていいからね?」
「じゃ、今日は“ほのかちゃん”って呼ぶね」
3人は笑い合いながら車に乗り込み、富士山を横目に高速道路を走った。
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御殿場プレミアム・アウトレット。
開放的な空と空気の中、3人はショップをめぐりながら自由な時間を過ごした。
「これ、悠人のサイズちょうどだと思うんだよね」
「このワックス、前に使ってたやつと同じ匂いだ。ね、ほのかちゃん、これ覚えておいて」
「はい……ふふ。どれも似合いそうで迷いますね」
「ていうか、ほのかちゃんが選んだって知ったら、悠人絶対泣くよ」
「うん。靴も買っちゃおう。泣かせてやろう」
「泣かせてやろう、って……おふたりとも優しさの表現が独特です」
店員にちらりと見られるたびに、
「今の子……結城ほのかに似てなかった?」とささやき声が聞こえてきたが、
姉ふたりがさっとほのかを囲いながら自然に移動する姿が、まるでボディガードだった。
「さすが、悠人の姉って感じです……」
「伊達に会社で鍛えられてないからね」
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夕方、帰宅。
紙袋をいくつも下げて帰ってきたほのかを見て、悠人が目を丸くした。
「えっ、どうしたの、これ……」
「お土産。お姉さんたちと……一緒に選んだの」
シャツ、ワックス、靴、小物――
どれも、自分のことを“分かってる”人が選んだと一瞬でわかる品ばかりだった。
「……こんなの、嬉しすぎる……」
その瞬間――悠人の目に、涙が浮かんだ。
「……ありがとう。ほのか、ありがとう」
そのまま抱き寄せ、感情のままに――
唇を重ねる。
そのキスは、ゆっくりと深くなり、
胸の奥にしまっていた「大好き」の気持ちが、すべて唇から溶け出していくようだった。
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夜。
「お風呂、湧いたよ」
「……一緒に、入る?」
浴室に入り、湯船に浸かるふたり。
泡と湯気に包まれながら、互いの肌に指を走らせる。
「ほのか、今日すごく楽しそうだった」
「うん。でも今の方が……幸せ」
「……俺も」
お湯の中、手が、腰が、背中が触れ合い、
やがて唇が、耳元から、首元へ、胸元へとゆっくり降りていく。
「……もう、我慢できない」
「……うん。今夜は、奥さんとして……あなたのものになりたい」
ベッドルームの灯りは落とされ、
あとは静かな吐息と、愛し合うふたりの影だけがそこにあった。
肌と肌、心と心。
すべてを重ね、包み込み、深くひとつになる夜――
それは「ありがとう」を超えた、
ふたりだけの“約束の時間”だった。
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