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外れスキル「焼き鳥」で追放された俺、実はフェニックスでした ~死ぬたびに最強になって悪を串焼きにします~  作者: 月影光貴


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第1話 焼き鳥屋「不死鳥亭」始めました

注意スローライフはしません、バリバリ戦います

「ふぅ、ルミナ? そっちの設置は終わった?」


 少し暑い中俺たちは汗水流して開店準備に勤しむ。


「えぇ、他もオムニスフィアでも運んでいるからすぐ終わるわ」


 俺たちは少し町外れの比較的安い元酒場の建物を買った。ここから俺たちの焼き鳥屋が始まる!

 そして彼女は青い水晶の玉を複数個も出し浮遊させて物を動かしている。

 

 この固有スキルは素晴らしい。

 ビームも出るし結界やバリアも使えるし便利だ。

 

 なんて羨んでいたら作業していたら昼だ。


「一旦休憩にしようか、もう昼だ」

 

「あら? もうそうなの、これなら明日には開店できそうねっ!」


 彼女は俺の肩を叩き、店の全体を見て満足げだ。

 ありがちな酒場に客の目の前で焼くためのグリルが置いてあるだけの特別感もない普通の店だ。

 

 それでも俺たちにとって大切な一歩だ。ちょっと俺には厨房狭いけど……


「だな! よし、ルミナは何食いたいか?」


「うーん、いつものパリパリの鳥皮と特製ソースの牛肉のステーキかしら?」


 これはパーティ時代のルミナの好物メニューだ。

 俺は冷蔵庫から肉と鳥皮を出して、指先の炎で燃料に着火! ……ん? なんか銀色の炎に見えた……? まあ良いか。めちゃくちゃ色々散々こき使われただけあって手際良く即座に完成!


「ほい! いつものにんにくキツめのソースだ。食べてくれ!」


 俺もステーキナイフで切り分けて食べ、竹串に刺さった鳥皮をパリッと食べた。我ながら生き返るガツンとした味だ。


「ありがとう、アシェル♪ アンタの料理は本当に美味しいわ! 明日からの開店もきっと客は沢山来るわよ!」


「だといいなぁ……」


「そうよ。……あ! 迷っていた店名は不死鳥亭で良いんじゃない? 鳥だし、これから再起するかのだから!」


 彼女は俺より店が成功する確信がある様だ。毎日俺の飯を食って味を知っているからだろう、ありがたい。


「良いな! じゃあ早く食べ終えて明日に備えた準備を終わらせよう」


 そうして何とかその日に全てを終えた。

 店に使う物以外はケチったので1つのベッドで2人で眠る。

 恥ずかしさはあるがルミナはそんなのお構い無しに共に寝る事を選んだ。今もデカパイ押し付けて抱き締めてくる、温もりで眠気が増進。

 小さい頃こうやって父に抱き付いて寝ていたな……


 次の日の早朝に起き、仕込みをしていざ開店!! 掲示板にだって張り出したんだ客は来るはず……


「いよいよね」


 これからが楽しみなのだろう、クールさが崩れる程可愛く眩しい笑顔だ。焦がれる。


「店内はたった数日の突貫工事みたいなもんだが、なんとかなる……はず」


 そうして朝8時から開かれた不死鳥亭。けれども昼時を過ぎても客足は無かった。ルミナはこの状況、目に見えてイライラしている。


「おかしいわ、値段だって安めで宣伝はしているのに。ちょっとギルドや町の掲示板を確認してくるわ」


 そうドスドスと足音を立てる様に怒って歩いて行った、暫くすると案の定なんかあったのか顔には青筋浮かべていたが、背後にはお爺さんが一人居た。


「どうせラインハルトの仕業よッ! 掲示物は全て破られていたわ……とそれは置いて、最初のお客さんよ!」


 アイツの事だ、そんなところだとは思っていた。怒りより呆れが勝る。

 てか後ろのお爺さんはどこ経由で見つけたお客さんだ??


「いらっしゃいませ! 店内にどうぞ!」


「あ、いえ持ち帰りを頼みたいのですが大丈夫ですかな?」


「可能ですよ! メニューです! それに店内はガラ空きなので座ってお待ちください!」


 そう言い通した客はメニューから合計10本の焼き鳥を頼まれた。なので目の前で焼き上げて袋に詰めて手渡した。

 ついでに意見を求めるために数本無料で提供した。


「おお、お姉ちゃんに言われた通り来て良かったわい! どれ食べてみるか……んん! 美味い! 炭火の香りが味わい深い! そして、このレバーは新鮮だ!」


 お爺さんはサムズアップしてまた来ると喜んでくれた、これだけで満たされる。


「っ!! ありがとうございます!」


 俺は深く頭を下げた。嬉しかったのだ、この上なく。


「銀髪のおにーちゃんは大した腕だよ! 腰痛もなんだか和らいだ気が……いや、何だか本当に調子が良いぞ! 孫に食わせるのが楽しみだ」


 お爺さんはベタ褒めしてくれる、照れるね。

 起業した甲斐があったよ、ホントに。


「やったわね!」


 そう言いながらハイタッチを求められたのでウッキウキでやった。


 その後、お爺さんが広めてくれた事と炭火の匂いが外に流れた事により夕方から終業まで大変だった、だけどやり甲斐も生き甲斐も感じた。

 閉店して今は2人でジョッキや皿を洗っている。


「ありがとうな、ルミナ」


 俺は笑顔で言う。

 本当に彼女のおかげで自殺していないレベルで感謝している。


「いちいち言わなくて良いわよ、これから……ずっとやっていくんだからね!」


「言わなきゃ伝わらないだろ? 取り敢えず、今日の売り上げでベッドを増やせるな!」


「……!? いや、好きで一緒に寝ているのだから要らないわ。……というか鈍感通り越してやっぱり馬鹿じゃない?」


「?」


「言わなきゃ通じないから言うわ。アンタのこと異性として好きなんだけど? ていうか、もうパーティ離脱時から付き合っていると思っていたわ」


 また数日前の様に、心底馬鹿なのかと言う瞳で俺を見る。

 まあ好きなのは何となくわかっていたけど言われなきゃ、自信の無い俺は最悪を考えてしまう。


「自信が無くてな」


「アシェル様は過去に縛られ過ぎですねっ。もう……チュッ♡」


 彼女は背伸びし頭に手を回されてかがまされた所で、不意に唇を奪われた。

 彼女は顔を背け頬を赤らめた。


「んん!!?」


「人生初めてのキスよ、光栄に思いなさい! そして自信をガンガン取り戻していくわよ!」


 彼女は照れ隠しの様に顔を背け頬を赤らめたが胸を張って言った。


「ああ……ありがとう」


 俺は少し泣いてしまった、転落人生から幸せになれるなんて思っていなかった。 

 それに彼女は情熱的で燃えている、俺も引き締めて心も燃やして努力するしかないな!


 ここから数日でリピーターを何人も作り、2週間でそこそこの繁盛店に成り上がった。とんとん拍子で店の設備は最新で新品の物になっていく。

 

 目に見える達成感ってのを得た。これはモチベーション維持に大切だ。

 

 そして朝からまた小さな客さんが来た。


「アシェルお兄ちゃん! 私せせり2本だけほしい!」


 せせりとは鶏の首付近の筋肉だ。子供にしては渋いチョイス。


「お嬢ちゃん渋いねぇ〜……ほら! 260のところ200()()()にまけてあげるよ!」


「わぁ〜! ありがと! ばいばい!」


 そう言うとジャラジャラと小銭を渡してきて走って出て行った、可愛いなぁ……子供は元気が1番!

 なんて思っていると彼女が話しかけてくる。


「アンタ本当に子供が好きね、大体安くしているかオマケしているじゃない」


「そりゃあ子供はお金沢山持ってないだろうしね〜」


「それはそうね」


 彼女は何とも言えない穏やかな表情でこちらを見つめてくるので首を傾げたら笑った。


「ふふっ、本当に顔と見た目の厳つさや威圧的な雰囲気を台無しにする、間抜けさというか可愛いわねアンタ」


「それ貶してんの〜? 褒めてんの〜??」


 と笑いなら答えると何故か腹を抱えてバカ笑いされた、こんな感じの穏やかな日々が続くと思っていた。

 

 このままルミナとの仲も深まり俺は満たされた人生を送るとばかり……だが魔の手はそこまで迫っていた。


次回覚醒。

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