最終決戦の狼煙
王位継承戦
これは次期王を決めるために争うだけではない。
その勝ち馬に乗る事で、今より上のポジションへ就く事を目指す、王族以外の戦いでもあった。
そんな現在の勢力状況は、
・第一王子シュタイン率いる保守派閥……約7割
・第一王女フィエルメ率いる国軍派閥……約3割
・第二王子アドウィン率いる改革派閥……0.5割
このままいけば、シュタインの圧勝で終わる流れであった。
それもそのはず。
ハーティアのメイクの弟子達は、皆もれなく地位の高い男達の心を手に入れていた。
次期当主の正妻や現当主の側室、果ては隠居した者の後妻。
悪意を持てば、この国を傾けられるほどにその根は深い。
そして全員有り余るほどの愛を注がれており……彼女達にお願いされたならば、叶えたくなってしまう。
フィエルメ、アドウィン派閥から有力者達を引き抜き、圧倒的な首位を手に入れたのだ。
もちろん二派閥は弱体化を余儀なくされ、特にアドウィンに至っては派閥消滅と言ってもいいほどだった。
こうなってしまっては、日和見主義な立ち位置をはっきりさせていなかった者達も、続々と参加を表明してくる好循環。
……二派閥にとっては、悪夢かもしれないが。
勝ち確と思われているシュタイン派閥だが、1つだけ問題があった。
バタイユ家……ハーティアと、シュタインとの確執である。
勢力が拡大したとはいえ、その殆どはシュタイン本人ではなく、あくまでバタイユ家の支持。
バタイユ家がやはり別の者を支持します、と言えば彼は一瞬で継承戦レースから脱落である。
そしてこの問題に関しては、バタイユ家を支持する者も同じ心配を抱え込んでいた。
当然である、圧勝だと思ってここに乗ったのだから。
そんな中発表された内容には、貴族の仮面を被る彼らも驚きを隠せなかった。
だが少ししたら、ホッと胸を撫で下ろした事だろう。
これで……シュタイン、ひいてはバタイユ派閥の死角がなくなったのだから。
その内容とは……
「ハーティア・ド・ラ・バタイユと、シュタイン・ド・ルイスによる、二度目の婚約」
というものだった。




