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『完結』婚約破棄令嬢 家柄……今は× 資金……今は× スパイ適正……◎ 〜家を追い出された令嬢が敵国のスパイと手を組み、破壊工作で祖国を滅ぼすまで〜  作者: お汁粉パンチ
バタイユ家の侵略編

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39/50

表舞台

 こうしてハーヴィルを実質的に追い出した事で、私はバタイユ家の次期当主の座を手に入れた。

 

 なので領主としての勉強が増えたため、空き時間が減ってしまった。

 まあ退屈はしなくなったのだけども……。


 ちなみに、サマヨエル……改めキースは今も暴れている様で話が聞こえてくる。

 あの貴族家の不倫が、あの豪商の脱税がどうとか、そんな暴露話。

 その話を知ったのは、使用人達が雑談で話していたのをこっそり聞いたからだ。

 こういう貴族家まで届くという事が今、サマヨエルの行動がどれだけ注目され……興味を持たれているかがよく分かる。


 ……元気に、やってるかしら?

 捕まったら1番の話題になってるだろうし、大丈夫なはずではあるんだけど。

 


 私の復帰の方は……一応は話題になったとは思う。

 ハーヴィルの学園中退からの領地送り、その話題と一緒に広められたらしいから。

 ただ私ハーティアは、実は領地に戻されて謹慎していただけ、そんな設定にされたためにあまり大きくはならなかったのだ。


 むしろ、サマヨエルの日常的な暴露の方が大きいぐらい。

 ……なんか負けた気がして、不服だけど。

 まあそんな訳で、私は再びバタイユ家所属として貴族社会へと足を踏み入れたのだった。


 上手くいきすぎてサマヨエルとの関係が疑われる、という事は多分ないでしょう

 第一王子派閥全体にダメージを与えた人間をバタイユ家が迎え入れる訳がない、そんな風に考えるはず。

 そもそも状況証拠だけなのだから、深掘りしても何も出てこないしね。


 唯一注意するべきは、報告にあったフィエルメ第一王女。

 いや、後はその懐刀と言われる、カーミラも。

 この2人組は、今もこちらを疑っていても不思議じゃない。

 

 ……むしろサマヨエル事件によって、マークが厳しくなっていてもおかしくないはず。

 早く捕まえないと、取り返しのつかない事件が起きそうだしね。

 もう、起きちゃってはいるのだけど。

 

 だから……パーティーでは、気をつけないといけない。

 復帰後初の舞台、こんなところで粗を見せれないのだから。

 

 そうして私は静かに、鏡と再び向き合うのだった。



 

「お誕生日おめでとうございます、ラミーネさん」


「はっ、はいっ。ありがとうございます、ハーティア様!」


 真っ赤なフリルがこれでもかと付けられたドレスを身に纏う彼女へ、私はそんな挨拶を交わす。

 それを受けてあちらはワタワタとしながらも、はにかんだ笑顔を見せてくれた。


 そうこの挨拶から分かる通り、私が今日訪れたのは誕生日パーティー。

 主役は、先ほど挨拶を交わした彼女……ラミーネ・ド・ラ・ストライ。

 ストライ伯爵家の次女なのだが、この家はバタイユ家宰相派閥に所属している。

 そのため今回、バタイユ家の代表として私は参加していたのだった。


 とはいっても彼女はあくまで次女であり、家を継ぐ立場ではない。

 だから当主が参加している家は少なく、ほぼバタイユ家と同じ様に代わりの者を送ってきていた。

 

 ちなみに、キースと初めて潜入したモリッジ男爵家の時は、確かに当主は多かった。

 けれどもあれは、かなり希少な例。

 あくまで伯爵家次期当主の婚約者、という立場だからこそ参加者も多かったのだ。


 今回のラミーネさんは、そういう訳ではないため……こういう参加者なのだ。

 絶対角が立つから、口にはしないけども。

 まあ、彼女はまだ15歳。

 学園で良縁を繋ぐことが出来たならば、もっと豪華なパーティーになる可能性もあるだろう。



 ……とはいっても、大物はいる。

 これは貴族家の現当主、というだけではない。

 ルイス王国は大国。

 貴族も多いため、こういうパーティーに好んで行く当主も少なくないのだから。


 明らかに、1人……いやもう1人会場の注目を集めている2人組がいた。

 それは男女ではなく、女性同士のペア。


「誕生日おめでとう、ラミーネさん。

今後も共に、ルイス王国の栄光に向かって歩んでいければと思っている」


「誕生日おめでと〜、ラミーネさん。

私からは、プレゼントとして護身用の魔道具を送らせて貰うね」


「こっ、ここ……光栄でしゅっっ!!

フィエルメ様にっ、カーミラ様も!!」


 明らかに他と違う雰囲気を醸し出す2人組。

 そう、第一王女フィエルメ・ド・ルイスと、ローズ伯爵家令嬢カーミラ・ド・ラ・ローズである。

 

 王女フィエルメは、普段は大国のため多くの国との戦線を持つルイス王国、その将校の足りない戦場へと赴き数多の勝利を収めてきた英雄である。

 落とした城の数は、大小考えないなら百近くとも。

 

 カーミラ伯爵令嬢、彼女は前線に赴かない生粋の研究者。

 その天才的な頭脳で数多の発見を重ね、1人でこの世界を100年ほど先に進めたと言われるほどの貢献を持つ。

 それに私達も潜った『魔力識別門』などの発明品でかなり儲けている様で、フィエルメ派閥でも3本の指に入る資金源となっていた。

 

 どうやら2人とも、現在では学園の歴史の教科者に乗るぐらいらしい。

 なので、ラミーネさんが喜ぶのも仕方ないのだ。

 ……私が話した時より喜んでいる気もするけど……うん。


 

 というので、終わりではない。

 普通に考えたら、明らかにおかしいのだ。

 だってここは、バタイユ家……もとい第一王子のシュタイン派閥が9割以上を占める会場なのだから。


 

 確かに、次期当主の誕生日であれば不思議ではない行為ではある。

 2人とも広い交友関係を構築しにきているのだな、で終わりだ。

 ただ伯爵家とはいえ、同級生でもない次女の誕生日に来るのはもう、何か別の目的があるとしか考えられない。

 きっと他家は、今回の主役であり主催者側のストライ家を引き抜きにきた、とでも思うだろう。


 だけども、こちらからしたら別。

 私がパーティーに出る事は隠さず、今回参加した。

 その後に参加を表明したのだ……あの2人は。


 明らかにこちらを狙っている、というのは私の考えすぎ?


 

 ……いや、間違いではなさそうだ。

 明らかに目が合って、こちらに向かってきてるから……

 

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