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屍桜(しざくら)〜サクラ散ル刻、命ハ咲ク  作者: ゆーきゃん
一章【桜の下の約束】

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9/10

8話【封の先にあるもの】

障子の向こうで、風が揺れている

さっきまで柔らかかった空気が、どこか張り詰めていた


「行こう」


紬は短く、それだけ言う

紬は振り返らず、奥の廊下へと歩き出した

楓は一瞬だけ俺を見る


「……変なことしたら斬るから」

「さっきからそればっかだな」

「信用してないから当然でしょ」


吐き捨てるように言って、紬の後を追う

俺も、黙って続いた

桜影寺の奥は、異様に静かだった

足音だけが響く

廊下は長く、どこまでも続いているように感じる

壁に掛けられた灯りが、ゆらゆらと揺れていた

外の桜の気配は、もう感じられない


「……さっき言ってた封印の間ってのは」

「もうすぐ」


紬は振り返らずに答える


「でも、その前に」


紬の足が止まった

目の前には…

一枚の古びた障子

他のものとは明らかに違う

紙は黒ずみ、ところどころにひびのような模様が走っている

まるで、何かを閉じ込めているような気配


「ここから先は……」


楓の声が、少し低くなる


「普通じゃない」


「最初から普通じゃないだろ」

「……軽口叩ける余裕、すごいわね」


だが、その言葉にわずかな緊張が混じっていた

紬は、ゆっくりと障子に手をかける。

その瞬間…

空気が変わった

肌にまとわりつくような、冷たい気配

息が、少し重くなる


「……なんだ、これ」

「感じる?」

「ああ」

「これが、屍人の源に近い空気」


紬は静かに言う

だが、その声はわずかに震えていた

紬は目を閉じる

小さく息を整え、そして


「開けるよ」


ゆっくりと、障子を引く

ギィ……と、鈍い音が響く

その隙間から、黒い空気が流れ出した

まるで、呼吸しているように

中は、暗かった

だが完全な闇ではない

中央に何かがある


「……あれは」


目を細める

それは、黒く濁った塊だった

脈打っている

まるで、生きているように


「……最悪ね。こんなに濃くなってるなんて」

「封印が弱くなってる証拠」


紬は一歩、前に出る

その瞬間…

ドクン

低い音が、部屋に響いた

塊が、強く脈打つ


「……動いたな」

「近づきすぎよ、紬!」

「大丈夫」


そう言った直後だった

ズルリ……

黒い塊から、何かが剥がれ落ちる

それは床に落ち…

ゆっくりと、形を成していく


「……屍人か」

「違う……これ……」


楓の顔が、わずかに青ざめる


「普通の屍人じゃない」


それは、人の形をしていた

だが、どこか歪んでいる

目が、ない

口だけが裂けるように広がっている

そして…

ゆっくりと、こちらを向いた

その瞬間

空気が、凍りつく


「……来る」


次の瞬間…

それは、消えた


「なっ!」


視界から、消えたと思った瞬間

背後に気配


「後ろ!」


俺は咄嗟に振り返る

そこに…

すでに振り下ろされた腕

反射で刀を抜く

ギィン!!

金属音が、空間を裂いた


「チッ……!」


重い

ただの屍人じゃない

明らかに力が違う

楓もすぐに動く

手裏剣が飛び、影のように距離を詰める


「こんなの、砦の外でも見たことないわよ!」

「奇遇だな。俺もだ」


紬は、両手を合わせる

小さく祈るように


「……桜よ。どうか、力を貸して」


その瞬間


部屋の中に…

桜の花びらが舞った

本来、ここにあるはずのないもの

だが確かに、それは光を帯びていた

戦いが、始まる

それはただの屍人ではない

そして…

この場所の異常の始まりだった

今回は異常の始まりを書かせていただきました!

これから希望の地だった桜ノ宮砦はどうなっていくのでしょうか?

次回もお楽しみ!


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書籍化、舞台化、漫画化を目指しています

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