3話【他所者】
「これはどう言うこと?紬!」
突然、静寂を破って怒鳴り込んで来たのは
くノ一風の女
見るからに桜巫女をしている紬と同い年くらいに見える
その後ろをアワアワしている少女と
片眼眼帯の男が入って来る
「突然、どうしたの?」
紬は驚きながら口を開く
「これはどう言う事って聞いてるのよ!」
「どう言うことって言われても…」
「私からはその男が怪我してるように見えるのだけど!」
どうやら、俺の事を言ってるみたいだ
「ええ、何がしてるわ。だから、とりあえず医務室で休ませてるじゃない」
「それはそうだけど、そいつは他所者じゃない!」
「すみません、紬姉様。止めきれず…」
口を開いたのは、ずっとアワアワしていた少女だった
「いいのよ。凛は何も悪くないわ」
「何よ、私が悪いみたいに」
「そんな事は言ってないじゃない」
紬はくノ一風の女と紬を姉様と呼ぶ少女に挟まれている
「まぁまぁ、それくらいにしてぐだせぇ!」
次に口を開いたのは片眼眼帯の男だった
「銀次も悪かったわね」
「いえいえ別にへっちゃらでさぁー」
「若いっていいよなー」
鉄之助は豪快に笑っている
カオスだ…俺は心の中でそう思った
次に口を開いたのはくノ一風の女だった
「それより、その男よ、問題は!」
「何が問題あるの?」
「怪我してるみたいじゃない!噛まれてたらどうするの?」
「噛まれてるんですか?」
「いや…」
急に紬から話を振られたので、いや…しか出なかった
「噛まれてないみたいよ?」
「その男の言葉を信じれと?」
「嘘を言ってるようには見えないわ?」
「どうだか、今日初めて会うんだからわからないじゃない」
「じゃぁ、どうすれば」
「ここには男が2人もいるんだから、噛み跡がないか調べるなりしなさいよ」
「悪いんですけど…噛み跡がないか調べさせてもらってもよろしいでしょうか?えっと…」
「蒼真…」
そういえば名乗ってなかったなと思い初めて名前を言う
「蒼真さんですね。私達は外に出てますのでよろしくお願いしますね」
「ああ…」
そういうと、女3人は医務室を後にする
華やかさがあった医務室も男3人になるとむさ苦しいものだなと思った
鉄之助が口を開く
「悪いが噛み跡がないか調べさせてもらう」
「…ああ」
俺は肩をすくめると、あっさり帯に手をかけた
手慣れた様子で結び目をほどき、着物をするりと脱ぎ捨てる
張り詰めた空気の中、その動きだけがやけに軽い
「調べてくれ」
緊張しているのは、周りだけだった
「ほら、噛み跡なんてなかっただろ?
鉄之助が口を開くと
銀次も安心したように返事をする
「お嬢達を呼んで来やすね」
銀次は女達を呼びに医務室を後にする」
「すまないな。俺達は屍人から民を守らないといけないんでな」
「いや、大丈夫だ」
俺は脱いだ着物を着る
そこに医務室を出ていた4人が戻って来る
くノ一風の女は俺を睨んでいる
「それで、お前の事を聞きたいんだが」
鉄之助が口を開く
「なんだ?」
「お前は今まで屍人を斬って斬って斬りまくってたと言ってたが、それは1人でか?」
「いや、妹もいた」
「その妹は?」
「斬った」
その瞬間、空気が凍りついたように静寂する
「悪い…」
「いや、もう3年も前の話だ。それからは屍人に襲われた村を回って斬りまくっていた。その時に過去の噂を耳にして近くにやったってわけだ」
「そうか」
少しの静寂がその場を襲う
「安心しろ。少し休んだら俺はどこかに消える」
「大丈夫ですよ。居たかったらずっと居てもらっても」
「だが…」
俺はチラッとくノ一風の女を見る
「この子も悪い子では無いんですよ。私達は屍人に怯えて暮らしています。一回噛まれたらそこでお終いなので…。桜巫女の私達もまだ力を手に入れていません。なので…」
「そんなに自分を責めないでくれ」
「え?」
「立派だと思う。俺は…」
「そうですか…」
紬は少し嬉しそうに笑う
「ほら、楓。あなたからも何か言ってあげなさい」
くノ一風の女は楓と言う名らしい
「噛まれてなかったみたいだし、ここに居てもいいわよ」
「口は悪いですが、悪い子では無いんですよ」
「ちょっと紬!」
「はいはい、ほら、まだ怪我が完治したわけでは無いのですから、私達はここで失礼しますね」
「ああ」
5人は医務室を後にする
俺は1人残され、さっきまで騒がしかったのが嘘のように静寂に包まれる
「これからどうするか…」
俺は再び目を閉じて夢を見た
あの日の約束の夢を
今回も読んでいただきありがとうございます♪
今回、新たに登場したのが
●楓【くノ一風の女。ツンデレ】
●銀次【門番。元盗賊】
●凛【弓使いの少女】
です
個人的には楓が好きですね
ツンデレ好きなので笑
いつかはこの作品を舞台化と書籍化したいと思っています
応援のほどよろしくお願いいたします




