1話【希望を目指して】
妹を斬って3年
俺は生き残った人々が砦を築いていると言われている
桜ノ宮砦を目指して旅を続けていた
妹を斬った日に決意したように
全ての屍人を駆逐する事だけを胸に
今は希望の地を目指している
今日も屍人に滅ぼされたであろう
廃れた村で一夜を過ごそうとしている
「ここは…」
屍人が居ないことを確認すると
俺はまだ崩れていない廃屋に忍び込んだ
「誰かいるか?」
当然、返事は返ってこない
「今日はここで寝るか…」
そうして、俺は廃屋の角に行き
屍人が入ってきても全体が見渡せる
位置に寝床を構えた
そうして目を閉じたら
疲れていたのか俺はすぐに夢を見た
4年前の夢だ
♢
暗い森
あたりは火で包まれていた
そこには生き残った2人の武士
そのうちの1人は深く傷を負っている
「黒影、しっかりしろ!」
「……はは…派手にやられたな…」
「喋るな!手当をする」
俺は黒影を手当しようとする
「無理だ」
「黙れ!」
俺は必死に黒影の傷を押さえる
「蒼真…」
「喋るなって言ってるだろ!」
「お前は昔からそうだよな…無茶をする」
「……………」
「俺たち…この国を守るって約束したよな…」
「ああ」
「でもさ」
黒影は周りを見る
そこには焼けた森、村、死体
「守れてない」
「……………」
「偉い奴らは城に隠れて、死ぬのはいつも弱い奴らだ」
「……………」
「この国は腐ってる」
「それでも守るって約束しただろ?」
「はは…」
「蒼真らしい」
「お前もだろ」
「…………」
黒影は少し笑っている
「蒼真。もしさ、全部壊したら」
「?」
「この国、1回終わらせたら」
「何を言ってるんだよ」
「…………」
「馬鹿なことを言うな。生きてまた戦うぞ」
「…俺はもう無理だ」
「死ぬんじゃねーよ」
「蒼真…お前は最後まで人を信じろ」
「…………」
「それが…お前の強さだ」
黒影の手が落ちる
「黒影?おい、黒影!」
俺は黒影の亡骸を抱き
ずっと泣いていた
「すまない…黒影…」
俺は片隅に置いてある黒影の刀を取り
その場を後にした
♢
そこで目が覚めた
「またあの夢か…」
その瞬間、廃屋の外から
無数の屍人の唸り声が聞こえる
「いつのまに!」
俺は急いで廃屋を出る
そこには30を超える屍人がいた
「くそ…これじゃ逃げられないか…」
俺は刀を抜く
「斬られてーやつは前に出てこい!」
俺は襲いかかって来る屍人を
1人また1人と斬っていく
「キリがないな…」
前に集中していて後ろにいた屍人に気づかなかった
「しまった!」
咄嗟に避けた俺は足がもつれてしまい
壁に頭をぶつけてしまった
「くそ…」
近づいてくる屍人を目の前に
目が霞み意識を失ってしまった
「大丈夫か!」
その時、声が聞こえた気がした
誰だかはわからない
だが、力強い声だった
そこで俺の意識は完全に無くなった
ご覧いただきありがとうございます!
今回は主役の蒼真と親友の黒影のシーンを書いてみました
このシーンは今後大事になって来ると予想しています
次の更新をお楽しみに!




