0話【悲劇の始まり】
桜暦20年、桜が散る季節
和の国は滅びを迎えようとしていた
♢
「お兄ちゃん、まだ町につかないの?」
「ここを過ぎたら城下町に着くはずだ」
「本当?」
「嘘ついてどうする」
妹は疲れた表情を見せないで
無邪気に笑っている
「最近、町の人変だよね」
「…………」
「急に人がいなくなったり、襲いかかって来たり」
「考えるな」
咄嗟に俺は叫んでしまった
我に返った俺は
「ごめん…」
「ううん…私の方こそごめんね」
「心配するな。必ず俺がお前を守るから」
「うん」
少し沈黙が流れる
桜が散るのが遅く感じる
俺達は再び歩き出そうとした時
遠くの方で呻き声が聞こえる
「な、何?」
「動くな」
咄嗟に俺は刀に手をかける
物陰からボロボロの…
「あれは…人?」
「違う…」
ボロボロの人ならざるものは
急に苦しみ出す
「怪我してるの?」
「バカ、近づくな!」
「え?」
妹は屍人に不用意に近づいてしまった
屍人は妹に襲いかかる
「やめろ!」
「きゃーお兄ちゃん!」
俺は咄嗟に刀を抜いて屍人を斬る
屍人はその場で身体と頭が離れた状態で
膝をつき倒れる
静寂がこの場を包む
俺は妹の方を見ると
妹は震えている
「大丈夫か?」
「…うん」
「怪我は?」
「……………」
妹は静かに自分の腕を見る
俺もその腕を見ると
血が腕を伝って流れていた
「……………」
「かすっただけ…」
「………………」
俺は自分の顔が青ざめていくのがわかった
「どうしたの?」
「その傷…」
「ん?」
妹は不思議そうに首を傾げたと思ったら
急に震え出す
「……あれ?……なんか、寒い……」
「……………」
「お兄ちゃん…なんか…お腹、空いてきた」
「やめろ」
「お兄ちゃん?」
妹は俺に近づいてくる
しかし、突然妹は叫びながら苦しみ出す
「やめてくれ!」
「助けて…お兄ちゃん…こわい…」
妹の声はどんどん変わっていく
妹は苦しみながら膝をつき俯く
再び立ち上がり顔を上げると
妹の顔は原型を留めておらず
どこか腐ったような顔になっていた
妹は完全に自我を失い俺に襲いかかってくる
「やめろ!正気に戻ってくれ!」
俺の苦痛の叫びも虚しく
妹は俺に襲いかかってくる
俺は刀を抜くが妹を斬れるわけもなく
避けるので限界だった
しかし妹の顔を見ると
自我を失ってるはずの目から
一粒の涙がこぼれ落ちる
それを見た俺は決意し
「ごめん…」
俺は一太刀で妹を斬った
俺は妹のそばに行き抱きしめる
「守るって約束したのにな…」
桜の花びらが舞うのが見える
「お前が俺に勇気を与えてくれてるのか?俺はお前の分まで生き抜いてやる!」
俺は拙くも穴を掘り妹の墓を作る
少し静寂が訪れる
しかし無数の屍人の声で静寂が破られる
「俺が全部斬る…この世の屍を!」
俺は決意し歩き出す
いつか屍人が居ない世界を目指して
屍桜を読んで頂きありがとうございます
普段は舞台脚本を書いてるので
脚本チックになりがちですが楽しんで頂ければと思っています
この作品もいずれは舞台作品にしたいと思って書いています
応援よろしくお願いいたします
更新頻度は2日に1回か3日に1回のペースでアップしていきます
お楽しみに




