10話【揺らぎの先に】
桜影寺を出た瞬間、空気が軽くなった
さっきまでの重さが嘘みたいに消えている
だが…
胸の奥に残る違和感だけは、消えなかった
「…はぁはぁ…」
楓は息を切らしている
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけないでしょ!さっきの見た?あんなのは初めてよ!」
「俺も外では、あんなのは居なかった」
「やっぱり、封印が…」
紬は言葉を詰まらせ不安が滲み出ている顔をしている
「あれが、もし出てきたらこの砦は…」
「おしまいでしょうね…」
「そうならないためにも、私達、桜巫女がいるんだけどね…」
紬は申し訳なさそうに顔を伏せる
少し静寂が訪れる
俺は前を向く
前には笑い合う子供
鍛錬する男達
洗濯をする女達がいた
「紬…顔を上げてみろよ」
紬は無言で顔を上げる
「笑い合う子供、鍛錬する男、洗濯する大人達。みんなを守るのが桜巫女の仕事なんだろ?だったら、自分の無力さを嘆いてないで、この砦を守っていくことを考えようぜ」
「蒼真…」
「俺では力不足かもしれねぇが、ここでさよならしちゃったら妹に叱られる気がしてな」
「手伝ってくれるの?」
「あぁ!」
俺は笑い合う子供達を見て微笑む
「なに、偉そうに言っちゃって」
楓はまだ信用してくれてないみたいだ…
「それで、これからどうするわけ?」
「準備が必要だろうな」
「そうね。先ずは私達、桜巫女の力を強めて封印を強くする。その護衛には楓。蒼真は私達の護衛をしてもらいながら鉄之助の下についてもらうわ」
「わかった」
「それでいいわ」
「蒼真。鉄之助の部隊は1番危険よ。くれぐれも気をつけて」
「あぁ」
「明日にでも鉄之助の所に行って。話は通しとくから」
「わかった」
「よし、今日のところは休みましょう。確か…空き家ってまだ残ってたわよね?」
「ええ。私が案内するわ」
「頼んだわよ、楓」
俺達は解散した
俺と楓は空き家へと向かう
少し気まずい空気が流れる
「蒼真」
「なんだ?」
「紬に変なことしたら、ただじゃおかないんだから」
「し、しねぇって」
「どうかしら。紬は可愛いもんね」
「なんだよ、嫉妬か?楓も可愛いと思うけどな」
「な!何バカなこと言ってるのよ!ほら、さっさと行くわよ!」
「なんだよ、照れてるのか?」
「う、うるさい!早く行くわよ」
「お、おい!待てよ!」
こんなに人と話したのはいつぶりだろと思った
これからどんな未来が待ってるのか
俺は救ってくれた砦を絶対に守ってみせると心に誓うのだった
今回も読んで頂きありがとうございました♪
今回は砦を守る決意のお話でした
楓のツンデレ具合も増してきて
自分の推しになりました
次回もお楽しみに
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