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下水道シュート・フルバースト!


「ふぎゃっ!」

「ぐぎゃっ!」

「げがぁ!」


 体に突き刺さった毒針は、オオスズメバチの猛毒を容赦なく体内へ注入。

 モンスター婚活女子たちは七転八倒の苦しみを味わいながらもがき回った。


 100キロ超えのオーク女子が突撃してくると、桐葉は砂時計のようにくびれた58センチのウエストをひねり、回し蹴りを豚鼻に叩きこんだ。


 トリガラボディのコカトリス女子が飛び掛かってくると、桐葉はIカップの97センチバストをダイナミックに揺らしながら、ボディブロウを抉り込ませ、飛べない鳥を宙にぶっ飛ばした。


 そしてインスマス顔のギルマン女子が低空飛行で走って来ると、桐葉は靴底を頭にストンピング。


 踏み潰しながら、2・5次元級の美貌で冷たく見下ろした。


「お前ら、蜂のボクより醜いな……」


 人の迷惑を顧みない、自己中心的な人間を前に、感情が高ぶったのだろう。

 桐葉の腕には、無意識のうちに蜂の甲殻が構築されつつあった。

 そこへ……。


   ◆


「桐葉!」


 俺が声をかけると、桐葉はハッとして、表情から険が解けた。


「あ、ハニー♪」

「うぉおおおおおおおおおお! 十代億万長者の勝ち組男子ぃいいいい!」


 コンマ一秒で鬼面になった桐葉の蹴りが、オーク女子の腹を抉りぬいた。

 ボウリングのように地面を転がり続ける後には赤いラインが残り、なかなかに重症そうだった。


「ハニーはボクのだぞ!」


 桐葉の両手が力強く俺を抱き寄せ、俺の胸いっぱいに巨大なおっぱいの感触が広がる。


 最初に出会った頃以上にやわらかで肉感的な体に、こんな状況でも嬉しくなってしまうのは反省である。


 ――桐葉って、パーツだけなら本当にムチムチなんだけど、手足が長くてウエスト細いから、スレンダーなモデル体型の印象なんだよな。


 本当に、反則染みたボディラインだと思う。


「でりゃぁああああああああああああああああ!」

「ん?」


 視線の先で、数十人のモンスターを討伐するアマゾネスがいた。


 彼女は並みいる敵をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返し、北斗神拳の伝承者もかくやという連続パンチは一撃一殺でモンスターを屠り、獅子奮迅の活躍で死山血河を築いていく。


 つまりは茉美である。


「ぎぃえええ! なんなのこいつ!」

「これが戦闘系超能力者の力なの!?」

「さてはゴリラの能力者ね!」

「ゴリラなんかに私たちの愛の力は負けないわ!」

「アタシはヒーラーよ!」


 茉美の拳が100キロ超えのオーク女子三人をまとめてぶっ飛ばした。


 ――説得力ないなぁ……。


 茉美はオーク女子をジャイアントスイングしながら手を離し、まとめて5人のモンスター婚活女子を退治した。


「うぉおおおおおお! 行くっすぅ! 東京中の害虫とドブネズミちゃん達! 売れ残りのモンスター婚活女子たちを成敗するっすぅ!」


 詩冴が荒ぶる鶴のポーズで叫ぶと、無数の黒点が空を覆い、さらに排水溝からこげ茶色の小動物たちが生きた絨毯のようにアスファルトの上をかけて行く。


 黒点と絨毯は善良な市民を無視し、モンスター婚活女子にピンポイントで群がっていく。


「ぎぃあああああああああああ! ゴキブリがぁああああああああ! ハエがぁあああああああああああ! アブがぁああああああああ!」

「ドブネズミにかじられるぅううううううううううう!」

「服の中に入ってこないで気持ち悪いぃいいいいいいい!」


 ――おぉ、久しぶりに見るけど詩冴の能力って結構強力だな。


「ハニー君」


 アスファルトの檻に閉じ込められたモンスターたちをバックに、美稲が駆けてきた。


「この人たち、全員テレポートさせられない?」

「難しいな。見えている範囲ならなんとかなるけど、東京中にいるんだろ?」


 しらみつぶしに探していたら、日が暮れるだろう。


「ではハニーさん、私たちに任せてください」


 真理愛が控えめに手を上げると、左右で麻弥と舞恋が構えた。


「モンスター婚活女子の場所を探知なのです。むむん!」


 麻弥がぴょこっと両手を挙げて何かを受信するようなポーズを取る。かわいい。

 一方で、舞恋は地面を見下ろし、かつんと靴を蹴り当てた。


「大地震の時と同じ、サイコメトリー範囲を東京全土に、苦しむ男の人たちの感情と、興奮した女性の感情を読み取れば……真理愛!」

「はい、お二人の頭の中を念写、統合、再念写。出ました」


 真理愛が展開したMR画面には東京や大阪などの主要都市の地図が表示され、そこに無数の赤い点が光った。


「ありがとうみんな! これでポイントは分かった」


 俺のテレポートは、対象の場所に具体性があるほど成功率が上がる。

 日本中のモンスター婚活女子を、では無理だ。


 けれど、地図を見ながら、この光点の人間をテレポートと念じながら力を発動させると、たしかな手ごたえがあった。


 東京駅前から全てのモンスター婚活女子が消失。

 同時に、赤い点が配置変更。

 葉脈が広がるようにして赤い点が地図にラインを引いていく。


「ハニーさん、あの方々をどこへテレポートさせたのですか?」

「どこって、もちろん下水道だぞ? だけど5万人もいたら下水道が詰まっちゃうから全国の下水道にまんべんなく配置してみた」

「なるほど、これは下水道管の配置と同じなんですね」


 真理愛は無表情無感動に納得した。


「ハニー」


 偉そうな声に振り返ると、美方と守方がこちらに駆けてくるところだった。


「これは貴方の力ですわよね? よくやりましたわ。淫獣もたまには役に立つではありませんの」

「姉さんもモンスター婚活女子たちには怒っていたからね、感謝しているんだよ」


 美方の左ジャブが閃いた。

 守方は刹那の見切りで避けた。


「避けるんじゃありません!」

「嫌だよ、痛いもん」

「むきぃー!」


 ――このやり取りを見るのも久しぶりだなぁ。


★美方ちゃん編スタートのカウントダウン開始 そしてワカラセの時間が……


★本作はカクヨムでは496話まで先行配信しています。

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