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モンスター婚活女子スタンピード

 一か月後。

 政府の公式発表に、日本中が湧きあがった。


 一言で言えば、日本婚活アプリは大成功だった。


 この半年の間に、500万組、実に1000万人の男女がお付き合いを始め、そのうちの半分はすでにご成婚済み。


 最初に電撃結婚したグループからは、早くも妊娠の報告まで届いている。


 今回の婚活の対象になったのは子供を産める37歳以下の女性に限定したので、当然と言えば当然だろう。


 あと、我が家の子宝地蔵様が頑張っていた気がする。

 誰のとは言わないけれど、幼女の後光が増しているような……。

 さらに農業や土木建築などの業界の人手不足問題を解消。


 労働者の所得を大幅に向上させ、無職の人たちに仕事を斡旋することで労働者人口そのものを増やすことにも成功している。


 新聞、テレビ、ネット、動画、あらゆるコンテンツが早百合さんの偉業を褒め称え、日本はちょっとした龍崎総理ブームになりつつある。

 

 放課後。

 俺は守方に頼まれて、きまずそうな顔の美方を総理の執務室へテレポートしていた。


「早百合総理、今年の学園都市の行事について、生徒の意見をまとめましたので、聞いていただけまして?」

「ほう、仕事が早いな」

「これでも生徒会長ですので」


 黒髪ロールを揺らして、美方は得意げに胸を張った。


 ――どうでもいいけど、日本初の女性総理と異能学園初代生徒会長の会合だな。


 だからなんだという話なのだが。

 そこへ、遥か彼方から拡声器を通したような、音割れしたキンキン声の残響を感じた。


「何か聞こえませんか?」

「うむ、いつものだろう」


 早百合さんが溜息交じりにMR画面を展開すると、正門前には数えきれないほどのモンスター婚活女子が詰めかけ、デモを起こしていた。


 MRの仮想プラカードから、昔懐かしの物理拡声器を使い、怒鳴り散らしている。


 パルクールとボルダリングが趣味の女性秘書、虹園忍舞さんが正門に近づき、鉄柵越しに声を張り上げた。


「許可のないデモ活動は警察案件ですよ? 逮捕されたくなかったら帰ってください!」


「うるさいだまれ!」

「ネットで見たわよわ! 無職の連中がいい給料もらっているらしいじゃないの!」

「そうなるってわかっていたら結婚したのに!」

「あのクソビッチ総理はどれだけ私たちをバカにしたら気が済むんだ!」

「責任を取って私たち全員に毎月100万円の給付金を払いなさい! 一生ね!」

「それができないならあたしたち専用の婚活パーティーを開けゴルァ!」


 虹園さんが眉尻を八の字に垂らして肩を落とした。


「やれやれ、政府発表を見ましたか? もう婚活男子の大半は結婚もしくは交際中ですよ」


 左手を腰に当てながら、右手を空に向けて、虹園さんは溜息を吐いた。


「いま残っているのは数百万人に一人の相手ともマッチングできなかった男子と今回の職業斡旋でもなお無職を貫き通した働きたくないでござる男子ですがそれでもいいですか?」


「いいわけあるかぁああああああ!」


「黙ってさっさと【20代でイケメンで身長180センチ以上のモデル体型で年収1000万以上で高学歴でタワマン住み高級車ユーザーで優しく自分をお姫様のように扱ってくれるハイスぺ男性】と私を結婚させろぉおおおお!」


「その手の男子で結婚を希望する男性はもう一人もいませんよ?」


 虹園さんの冷静なツッコミに、モンスター婚活女子たちはさらにヒートアップした。


「だったらいま付き合っている女と別れさせてあたしらと結婚させればいいでしょう!」


「そうよ! 総理ならそれぐらいしなさいよ!」

「こんな小娘じゃ話にならないわ!」

「総理に直談判よ!」


 言って、モンスター婚活女子たちは五メートル下がると、全員でスクラムを組んで全力疾走してきた。


「え? あなたたちまさか!?」


 驚愕に目を剥く虹園さんの前で、モンスター婚活女子たち数百人、推定50トンの肉弾となり鉄柵にタックルをかました。


 屈強で堅牢な鉄柵が、まさにスタンピードと言うべき攻撃に耐え切れず悲鳴を上げて倒れた。


 虹園さんはバックステップで避ける。

 そこへ、数百人のモンスター婚活女子たちが襲い掛かる。


「危ない!」


 俺は悲鳴を上げるも、杞憂だった。

 虹園さんは高く跳躍すると、モンスター婚活女子たちの頭を足場や取っ手にして、新体操選手よろしく頭上を駆け抜けていく。


「ぎぃえええ!」

「あたしの頭を踏むなぁ!」

「人の頭をなんだと思っているのよぉ!?」

「この小娘! 地獄に落としてやる!」


 モンスター婚活女子たちは頭上に手を伸ばすも、虹園さんは霧のようにすり抜け、まるで捕まらない。


 ――そういえばこの人、パルクールとボルダリングが趣味だっけ?


 現代のくノ一とも呼べる機敏さを発揮しながらモンスター婚活女子を翻弄する虹園さん。


 その間に、早百合さんが声をかけてきた。


「奥井ハニー育雄、下水道シュートだ」

「あ、はい」


 俺が気分で必要もなく指を鳴らすと、モンスター婚活女子たちの姿が消えた。

 足場を失った虹園さんは、コンクリートの上に逆立ちで着地。


 両足を空に向けたまま制止して、むしろ片手立ちをキメた。

 俺は心の中で10点と叫んだ。

 そんな俺の隣で、美方が青ざめていた。


「あ、あれが未婚女子の末路……あの、龍崎総理、先ほどの提出資料ですが、恋愛イベントについて否定的な私見を書いたのですが、撤回致しますわ……」


 彼女なりに、何か思うところがあるようだ。


★パラレル???


「あ、ハニー」


 聞きなれた美しい声に振り返ると、俺は噴いた。

 何故か、桐葉がメイド姿でこちらに走って来るのだ。


「え、ちょ、なんでメイド服?」

「なんでって、ボクはいつもメイド服だよね?」

「は? いつも? てか、あれ? 瞳の色違うけど、カラコンでも入れているのか?」

「カラコン?」


 はてな、とばかりに小首をかしげる桐葉?の瞳は、いつものはちみつ色ではなく、コハク色だった。

 それに、なんだかいつもと雰囲気が違う気がする。

 すると、違和感のある声が聞こえてきた。


「お、コハク、その服どうしたんだ? そんなの買ったっけ?」

「コハク? コハクに恋人って意味あったっけ? 恋人呼びしたいならダーリンとかベイビーちゃんじゃない?」


 振り返ると、俺が桐葉相手に戸惑っていた?


「桐葉がふたり!? え!? お前双子だったの!?」

「え!? ハニーが二人!? 双子だったの!?」

「「いやいや」」


 互いに手を横に振ってから、俺はもう一人の俺と向かい合い、手を合わせた。

 すると、俺らは融合。一人の人間になってしまった。


 ――あ、そういうことだったのか!?


 記憶も統合されて、全てを理解した。

 どうやら、こいつらはダンジョンがある地球、というパラレルワールドから来たらしい。


 ――それにしても……。



「「ハニーが合体した!?」」



 驚愕に目を丸くする桐葉とコハク。

 二人が並ぶと、なかなかに壮観だった。

 長身スレンダーで、縦パイズリができるほどに爆乳爆尻の真正美少女が二人。いろいろと、妄想がはかどってしまう。


「むぅッ、ハニーが分裂したなら夢の3Pができると思ったのにぃ」

「こ、こら、はしたないことを言うな!」


 ――俺も考えていたので、うしろめたさMAXで取り繕った。


「待ってて、ボクの鑑定スキルで戻す方法調べるから」


 言って、琥珀色の瞳をした桐葉、もといダンジョン管理人のコハクが俺のことをためつすがめつ眺めてきた。


「わかったよ。何故か理由はまったくわからないけど、ノンストップで108回イカせれば戻るみたい! というわけでハイ全裸!」

「こっちもハイ全裸♪」


 ふたりは同時に服を下着ごと脱ぎ捨て、うまれたままの姿になった。

 暴力的なまでのエロスに、俺は鼻の奥に血の匂いが充満した。


「■■■■■■■■■■■■!?」


 でかい!

 いまさらだけど、桐葉のおっぱいはものすごく大きい!


 本人曰く、HカップからIカップに進化したらしいそのおっぱいは、特大メロンを超え、最近ではスイカ並みの迫力があった。


 そんなものが二対、合計4つ、俺の前にさらされていた。

 まして、二人のパンツは床の上。

 女の子の一番大切な部分も、丸出しだ。


「えへへ、さすがにちょっと恥ずかしいや。でも、ハニーのためだもんね♪」


 桐葉は頬を赤らめて、手を股間にあてがおうとしては引いてを繰り返す。


「そうそう。ハニーのためだよ。ていうかボクと同じくらいおっぱい大きいね。乳首の色も同じだし、ハニーはどっちに興奮しているのかな?」


 桐葉とコハク、二人の爆乳がどたぱんっとぶつかり合い、押しつぶし合う。

 その上で、ふたりの美貌があでやかに微笑みながら、こちらに煽情的な視線を送って来る。


「あ、あの、ふたり、とも?」


 二人の手は、期待と背徳感と理性と文明人の矜持がないまぜになってハチ切れそうな俺の下半身に飛びついた。


 俺はコンマ一秒でひん剥かれ、かつては服とパンツだった布切れの中央で蹂躙される乙女のような悲鳴を上げた。


 4つのおっぱいが俺の暗黒龍を押しつぶし、前後上下左右に激しく圧搾していく。

 4枚のくちびるが俺の暗黒龍を這い、くわえ込み、舌がからみついてくる。


「はむ、はもっ、しゅごい、ボクらのおっぱいでも包みきれないなんて、相変わらず、あむ、じゅるる、たくましいんだからぁ!」

「もう、ハニーってば何センチあるの? ねぇ、これ、あむあむ、おっぱい上下に使えばイケるんじゃない?」

「おまっ、なんつうことを!? はぐぁっ!?」


 3キロ越えのIカップおっぱいが上下にスライド。

 暗黒龍の上半分を桐葉が、下半分をコハクが挟み込んだ。


 根元から先端まで、すべてで同時におっぱいを感じるのは初めてで、俺の暗黒龍は断末魔の悲鳴を上げた。


「あ、はぁ♪ ハニーの全部埋まっちゃったぁ♪ こんなの初めてぇ♪」

「わぉ、熱っつぅい♪ ハニーってば、そんなによかったの? 嬉しいなぁ♪」


「喜んでいる場合じゃないよ。ハニーを戻すにはノンストップで108回イカさないといけないんだから。休んでいたらコンボが途切れちゃう」


「あ、そうだったね」

「じゃあ今度はボクに上半分担当させて。ボクも、おっぱいのナカに出されたいし」

「うん、いいよ♪」


 二人は無敵の笑みをかわしあい、阿吽の呼吸で上下が入れ替わった。

 暗黒龍が解き放ったホワイトブレスが潤滑油となり、4つのおっぱいはにゅるりとシームレスにスライド。


 その瞬間に、腰がゾクリと震えるような快楽が走った。


「「ふふ、じゃあハニー、残り107回。タップリ楽しんでね♪」」


 この瞬間、俺には一片の希望も残されていないことがわかった。



 数時間後。

 そこには精も魂も尽き果て即身仏のように枯れ果てつつも賢者のように清らかな表情で横たわる二人の俺の姿があった。


「じゃあまた今度♪ 次に会う時はお互い妊娠していようね♪」

「うん♪ お互いにハニーには一滴も残さないようにしようね♪」

 ――何を?


 もう融合していないのに、俺と俺は互いに同時に意識を失ったことを悟った。


★本作はカクヨムで496話まで先行配信しています。

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