ニートを働かせる方法
「え、何かまずいですか!?」
俺は心臓が冷たくなるほど動揺するも、早百合さんは感動の声を漏らした。
「いや、凄いぞ。体が軽いのだが、こんなの中学時代でも、なんだ? なんなんだこの感覚は!?」
美稲が何かに気づいた。
「あれ? 早百合さん、なんかお肌が。舞恋さん、ちょっと早百合さんをサイコメトリーしてもらえる」
「え、いいんですか?」
「構わん。私の状況を看てくれ」
「はい、じゃあ……」
舞恋が早百合さんに触れると、目を丸くした。
「あ、すごい。体の劣化細胞の数が0個になっている」
「よかった、どうやら成功みたいだな。けど」
俺も、早百合さんの違和感に気づいた。
早百合さんは自らの顔に手をあて、ほおを撫でた。
「この肌の感触は、どうしたことだ? 女子高生時代どころか赤ちゃんのそれだぞ!?」
そうなのだ。
一言で言えば、早百合さんは今まで以上に美しくなっていた。
元からハリウッド女優難に美人で肌も超一級品だったのに、それが今ではCGのレベルになっている。
「あ」
と桐葉が手を叩いて、みんなの注目が集まった。
「もしかしていま赤ちゃん状態なんじゃない?」
「どういうことだ桐葉?」
「ほら、成長と老化は別物でしょ? つまり一歳の幼児も1年分成長していると同時に1年分老化もしているんだ。けど、早百合は今、赤ちゃんと同じ劣化細胞ゼロ状態。つまり、自然界では絶対にありえない、赤ちゃん細胞を持った成人体なんだよ」
「なんだそのSF生命体!?」
俺が素っ頓狂な声を上げると、早百合さんは珍しく興奮した様子で、急に上着を脱ぎ始めた。
「さ、早百合さん何を?」
俺も言葉も届かず、早百合さんは一心不乱に服を、シャツを脱ぎ、そしてブラのホックを外した。
「鏡を持ってきてくれ、全身が写るモノを!」
「は、はい」
語気に圧されて、俺は早百合さんの部屋から姿見をテレポートした。
直後、早百合さんはブラとパンツを脱ぎ捨てた。
「いんぎゃぁああああああああああああああああああああ!」
スイカよりも大きなおっぱいが、爆乳が、どたばるぽんッ、とふたつあふれ出した。
本来ならば、たとえ若くても重力に負けて垂れてしまうような規格外のKカップバスト。
とはいえ、よく鍛えこまれた肉体を持つ早百合さんの爆乳は、元からプロのグラビアモデル以上の張りとキープ力で見えないブラに支えられているかのような形を保ち、乳首もツンと上向きだった。
それが、今ではまるでアニメのように美しいバストラインを引いていた。
この大きさではありえない、前に突き出したロケットバストがそこにある。
この世に、ここまで若々しくみずみずしいおっぱいがあるだろうか。
「す、すばらしい、これが私のカラダなのか?」
早百合さんは感動に打ち震えながら、自身の爆乳をわしづかみ、揺らし、持ち上げ、もてあそんだ。
早百合さんの手と指の動きに合わせて、むにゅむち、ばるるんどたぽんと千変万化するおっぱいから目を離せず、俺は前かがみになりながら鑑賞してしまう。
「すごい、ではここは?」
早百合さんはぐるりと後ろを向いて、スイカを横に二つ並べたような爆尻を突き出した。
ブラジルの美尻コンテスト、ミスブンブンの優勝も狙えるようなお尻が、輝くように跳ね弾んだ。
が、そんなものを見せられては、こちらとしてもたまったものではない。
「ぶぼぁっ! あの、さ、早百合さん!」
「ではここは? こっちは? ではこっちは? おぉ、自分でも見たことが無いほどのクオリティだな。ならばここはどうなっている!?」
「そこはダメです!」
俺の制止は間に合わず、早百合さんは最大の刺激ゾーンをご開帳。
致死量の刺激を処理できず、俺は鼻から脳内にかけて血の匂いを感じながら静かに息を引き取った。
「ちょっとハニー! こうなったらボクの裸で上書きしないと!」
――桐葉さん、君はもうちょっと俺に優しくてもバチは当たらないと思うんだ。
のちに俺のテレポートアンチエイジングはとある大事件を巻き起こすのだが、それはまた別のお話。
◆
翌日から日本各地と、そしてネット上では引きこもりニート向けの婚活パーティーが開催された。
とはいっても、無職である彼ら彼女らが結婚するのは困難だろう。
なので、実態は異性の友人を見つける交流会、という感じが強い。
ちなみに、モンスター婚活女子が何人か参加したようだが、当然誰ともマッチングしなかった。
ネット上の書き込みは散々なものである。
「ふんふん、無職が婚活パーティーに来るなよ、いやお前らも無職じゃん。こっちは男に働く気なくて吐き気がした。淫乱総理に仕事あっせんされてもそれじゃハイスペになりようがないから帰った。ですって」
リビングで俺が水を向けると、早百合さんは麻弥たんの髪型を変えて遊びながら頷いた。
「想定内だな」
「でも取材で言っていましたけど、無職ニートひきこもりの人たちに仕事を与えるんですよね? 言っては何ですけど労働意欲のない人たちにどうやって仕事をさせるんですか?」
「うむ、まず無職ニートひきこもりと言っても三段階に分かれる」
麻弥たんの頭の左右にお団子を作り終えてから、早百合さんは人差し指を立てた。
「ひとつ。サラリーマンが嫌な者。つまり決まった時間に起きて出勤して客と上司に頭を下げるのが苦手な者達だ。こうした者達は人と関わらない仕事や自分のペースでできる仕事ならできる」
続いて中指を立てた。
「ふたつ。追い詰められたら働く者。親など頼れる相手、ニートをさせてくれる相手がいるので甘えているだけで、ある日、親が急に消えたり経済的に働かないとホームレスになる、という状況になると働くタイプだ」
最後に、薬指を立てる。
「みっつ。死んでも働かない者。働くぐらいなら死ぬ、親が蒸発したらそのまま餓死したりホームレスになるタイプだ」
「そんな人たちをどうやって働かせるんですか?」
★完成!ロリ四天王
「諸君、いま戻ったぞ」
「お帰り早百合」
とある日曜日の夜。
俺が桐葉たちと一緒にテレビを見ていると、玄関から早百合さんの声が聞こえてきた。
桐葉が立ち上がり、お出迎えに行った。
「北海道の出張土産にカニを買ってきた。みんなで食べよう」
玄関から聞こえてくる声に、俺は眉根を寄せた。
「北海道ですか? 俺を呼んでくれたらテレポートで迎えに行ったのに」
「最新飛行機の試乗会を兼ねていたからな。総理の私が乗る必要があったのだ。それに飛行機疲れはないぞ。流石は最新の飛行機だ。素晴らしい乗り心地だったぞ。むしろ行きよりも肩が軽くなったくらいだ!」
早百合さんの肩で、アイヌ民族衣装姿の幼女がちょこんと肩車していた。
――なにかいるぅ!?
幼女は早百合さんの肩からころりと落ちると、絨毯にもちっと着地した。
そこへ、麻弥たんが歩み寄っていく。
二人は鏡合わせのように同じ方向の手を挙げたり、くるりと回ったりすると、互いの頬をぽよんと押し付け合った。
――え? 今のはなんなんだ!? なんの儀式なんだ?
麻弥たんはリビングの角に置いているガジュマルの木でできた長椅子の上で眠っている赤毛の女の子のもとへ歩み寄ると、お腹をゆすり起こした。
赤毛の幼女は目を覚ますと、黒髪アイヌ民族衣装の幼女をしげしげと眺め始めた。
それから、さっきと同じように鏡合わせよろしく同じ動きをしてから、頬をぽよんとくっつけあった。
――だからそれなんなんだ!?
そして三人でアルプスいちまんじゃくを始めた。
俺がその様子を観察していると、カニの準備ができた。
せっかくなので、俺はテレポートで京都のとある旅館に行くと、和服姿の幼女を連れてきた。
すると、和服姿の幼女はカニを前に、にこにこと上機嫌な顔になった。
麻弥たんは俺の、赤毛の幼女は桐葉の、和服の幼女は糸恋の、アイヌ民族幼女は早百合さんの膝に座ると、もちもちと勝手にカニを食べ始めた。
だけど、誰もツッコまない。
まるで、そこに彼女たちがいるのが当たり前のように受け入れている。
まるで妖怪ぬらりひょんである。
そして何基準で座っているのかは、
たぷんたぱん ぽよんぱゆん
まったくわからない。きっと心の綺麗さとかだろう。
けれど注意が必要だ。
ネットで調べたところ、コロポックルは幸福をもたらす半面、決してこちらからかかわってはいけないとされている。
とある男性がコロポックルの顔を見ようと手を引いたところ二度と現れなくなり、福が消えたという話もある。
「♪♪♪♪」
幼女は俺の隣まで来ると、笑顔でカニを差し出してきて、あーん、をしてくれる。
俺がカニを食べると、幼女は笑顔で俺の頭をよしよしいい子いい子となでてくる。
――向こうからめっちゃかかわってくるんですけど!?
それから、アイヌ民族幼女はキッチンからかまぼこ板を持ってくると、マジックペンで【ポクル家 別邸】と書いて、麻弥たんの部屋の前にテープで張り付けた。
――ポクル家!? コロ家じゃないのか!?
★本作はカクヨムで495話まで先行配信しています。




