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運命の真相

物語の時計を、再び三十年前へと巻き戻そう。



かつてアリスが魔王を単身で討伐した、あの最期の瞬間。


崩れ落ち、灰となっていく魔王の意識に、アリスは密かに念を送っていた。


(……次は、私の友人として生まれてきて。巨大すぎる力は、いつの世も排除の対象になる。君も、そして私も。……決して、例外ではないのよ)



魔王はその念を、呪いではなく祈りとして受け取り、消滅した。


それから、アリスには短い「平和」が訪れる。パーティメンバーの一人であったシャーリーは、彼女の孤独と力を誰よりも理解していた。彼と過ごす時間だけが、アリスにとっての救いだった。


だが、アリスの予感は的中する。


かつての戦友――ラムーたちの瞳に宿る色が、敬意から「恐怖」へと変わっていくのを彼女は見逃さなかった。シャーリーもまたその毒に気づき、二人は幸福の中で常に刃を隠し持ちながら、静かに警戒を続けていた。

ある日、ラムーが「未来のために魔法学校を創設する」と言い出した時、アリスの疑惑は確信に変わった。


(ああ、私は殺されるのだわ。……そしてこの国は、歪んだ支配に塗り替えられる)




魔王討伐から十年後。



学校が完成に近づく頃、アリスはシャーリーとの間に、一人の娘を授かった。

名は、アイナ。

その赤子が宿していたのは、アリスの力を完全に受け継いだ、純粋で底知れぬ魔力だった。

アリスは焦燥に駆られた。このままでは、この子もまたラムーたちの「道具」として利用される。

予想通り、ラムーは「娘の力を制限し、暴走を防ぐため」と称してペンダントの装着を持ちかけてきた。

アリスは、死を覚悟した微笑みでそれを受け入れた。

だが、ただ従ったわけではない。

彼女はペンダントに魔力制限の呪いをかけると同時に、極秘の術式を組み込んだ。



『万が一、魔力が外部へ搾取され、それが解放された時。すべての魔力は迷わずアイナへと帰還せよ』



もしその時、アイナが既にこの世にいないのであれば、魔力は霧散し、誰の手に渡ることもないように。そして何より、その解放された魔力の中に、アリス自身の記憶と、すべての魔法の扱い方を知識として落とし込んだのだ。



一方、精神魔法の達人であった夫シャーリーもまた、独りで動いていた。


彼は僅かな情報を頼りに、魂の痕跡を探り当て、ついにはその「転生先」を見つけ出した。


シャーリーは自らの精神魔法のすべてを注ぎ込み、遥か未来の魔王の魂に働きかけた。



(いつか、目覚めたその時に……。私たちの娘の、力になってやってほしい)




それは支配ではなく、親としての切なる願いだった。





そして――予想通り、アリスとシャーリーは殺された。





戦友たちの卑劣な裏切りによって、命を散らした。





だが、二人の英雄は、最後に勝っていた。






自分たちが死んだ後もなお、娘の未来を守り、世界の平和を守るための「種」をすべて撒き終えていたのだから。

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