第47話 「Executed」
嫌な予感は、ずっとあった。
でも。
間に合わなかった。
ログ・イーターの腕が、リシアに触れる。
「――っ!!」
引き寄せられる。
距離が、一瞬で消える。
抵抗する暇すらない。
「……離して……!」
アンカーが打ち込まれる。
ガンッ!!
空間が固定される。
止まる。
一瞬だけ。
【ログ】
対象:空間固定
状態:不安定
軋む。
空間ごと、削られていく。
止まらない。
「……まだ動くの……!」
リシアの声が震える。
初めて聞く声だった。
あいつが。
“余裕を失っている”。
それだけで分かる。
――終わる。
そう思った瞬間。
アンカーが、消えた。
跡もなく。
【ログ】
対象:干渉
状態:消失
「……なんで……」
リシアの声が、崩れる。
成立していない。
触れているのに。
存在していない。
ログ・イーターの腕が、さらに引き寄せる。
このまま。
終わる。
理解する。
これは無理だ。
どうやっても、勝てない。
繋いでも消される。
干渉も消される。
じゃあ、どうする。
逃げる?
無理だ。
もう距離がない。
助ける?
無理だ。
触れたら終わる。
――だったら。
「……クソが」
もう、いい。
分かってる。
これは。
“普通じゃない”。
だったら。
普通じゃないやり方をする。
繋ぐんじゃない。
合わせるんじゃない。
――切る。
【ログ】
対象:リンク試行
状態:接続不安定
同期率:低
感覚が来る。
でも、足りない。
ズレる。
間に合わない。
その奥。
さらに“深い場所”。
触れてはいけない領域。
そこに、手を突っ込む。
Plain text
Record : ERROR
>> Blade : Unknown
>> Cut : Standby
「……え」
リシアの声が止まる。
違う。
さっきまでと、明らかに違う。
でも。
止めない。
止めたら終わる。
「――切れろ!!」
Plain text
>> Cut : Executed
>> ERROR
一瞬。
全部が止まる。
音も。
動きも。
感覚も。
その次の瞬間。
“繋がりが消えた”。
ログ・イーターの腕が。
落ちる。
「……は……?」
音がない。
ただ。
“繋がっていない”。
リシアの体が、解放される。
「……今!!」
叫ぶ。
腕を掴む。
引き離す。
「……走って!」
「……っ、うん……!」
声が揺れてる。
それでも走る。
振り向かない。
背後で。
何かが“繋がり直す”。
終わってない。
でも。
逃げるしかない。
息が荒い。
手を見る。
さっきの。
何だ。
【ログ】
状態:不明
補足:記録不可能
理解はできない。
でも。
一つだけ分かる。
あれは――
“普通じゃない”。




