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第44話「OVERLINK」


 ――ズレてる。

 

 止まったはずの構造体が、また軋んだ。

 

 さっき、止めた。

 

 確実に。

 

 繋いで、押さえ込んだ。

 

 なのに。

 

 

「……おい、ふざけんなよ」

 

 

 空間が、微妙に歪む。

 

 崩壊が、じわじわ戻ってきている。

 

 

 “効いてない”。

 

 

 いや、違う。

 

 

 “持たない”。

 

 

 

「……は?」

 

 

 手を伸ばす。

 

 今度は迷わない。

 

 

 繋ぐ。

 

 

 距離なんて関係ない。

 

 

 さっき出来た。

 

 

 なら、もう一回。

 

 

 

「……来い」

 

 

 世界が、ズレる。

 

 

Plain text

接続リンク

>> 状態:確立

>> 接続安定:低

>> 持続:短

 

 

「……っ、来た!」

 

 

 今度は掴んだ。

 

 触れてる。

 

 

 距離なんて、意味がない。

 

 

 “繋がってる”。

 

 

 そのまま押し込む。

 

 

 崩壊に触れる。

 押す。

 

 

 止まれ。

 

 

 止まれ。

 

 

 

 ――止まった。

 

 

「……は、はは……」

 

 

 笑いが漏れる。

 

 

 いける。

 

 

 これ、いける。

 

 

 

 ――その瞬間。

 

 

 バキッ。

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 音がした。

 

 

 違う。

 

 

 音じゃない。

 

 

 

 “繋いでる側”が、軋んだ。

 

 

 

 腕が、重い。

 

 

 いや、違う。

 

 

 

 繋がりが、軋む。

 

 

 

「……なんだよ、これ」

 

 

 

Plain text

Link : WARNING

>> Stability Collapse


――Subroutine Conflict

 

 

 

「……ちょ、待て」

 

 

 

 急に。

 

 

 接続が、暴れ始める。

 

 

 

 対象だけじゃない。

 

 

 

 周囲の構造まで、巻き込む。

 

 

 

「……っ、やめろ!」

 

 

 

 止めようとする。

 

 

 でも。

 

 

 

 “切れない”。

 

 

 

 繋いだのは自分なのに。

 

 

 

 外せない。

 

 

 

「おい、離せ!」

 

 

 

「――離れて!」

 

 

 

 リシアの声。

 

 

 

 その声が、やけに近く感じた。

 

 

 

 振り向く。

 

 

 

 距離はある。

 

 

 なのに。

 

 

 

 “すぐそこにいる”。

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 おかしい。

 

 

 全部おかしい。

 

 

 

Plain text

Link : ERROR

>> Overconnect


Target : Multiple

 

 

 

「……なんだよ、それ」

 

 

 

 触れてる。

 増えてる。

 

 

 

 意図してない。

 

 

 

 繋いでない。

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 全部、繋がってる。

 

 

 

 空間も。

 

 

 構造も。

 

 

 

 リシアまで。

 

 

 

「……っ!」

 

 

 

 息が詰まる。

 

 

 

 これはまずい。

 

 

 

 感覚で分かる。

 

 

 

 これ以上は――

 

 

 

Plain text

Blade : ERROR

>> Undefined


Record.Blade : ERROR

>> Access Denied

 

 

 

「……またそれかよ」

 

 

 

 知らないログ。

 

 

 でも。

 

 

 

 “嫌な感じしかしない”。

 

 

 

「……それ」

 

 

 

 リシアの声が止まる。

 

 

 

 珍しく、言葉に詰まる。

 

 

 

「……今の、見えてるの?」

 

 

 

「……ああ、なんか出てる」

 

 

 

「……」

 

 

 

 沈黙。

 

 

 

 明らかに、知ってる反応。

 

 

 

「……なんだよ、それ」

 

 

 

「……知らなくていい」

 

 

 

 即答だった。

 

 

 

 でも。

 

 

 

 声が硬い。

 

 

 

 

「……いや、知るだろ普通」

 

 

 

「……いいから切って」

 

 

 

「……切れねえんだよ!」

 

 

 

 苛立ちが漏れる。

 

 

 

 外せない。

 

 

 

 繋がりすぎてる。

 

 

 

 

「……じゃあ壊して」

 

 

 

「は?」

 

 

 

「……繋ぎ方が間違ってる」

 

 

 

「……だったらどうすんだよ!」

 

 

 

「……」

 

 

 

 一瞬、迷う。

 

 

 

 でも。

 

 

 

 決めるように言う。

 

 

 

 

「……無理やり断って」

 

 

 

 

「……はぁ!?」

 

 

 

 無茶だ。

 

 

 

 でも。

 

 

 

 他にない。

 

 

 

 

「……っ、クソ……!」

 

 

 

 歯を食いしばる。

 

 

 

 接続を“壊す”。

 

 

 

 繋ぐんじゃない。

 

 

 

 断つ。

 

 

 

 

「……離れろッ!!」

 

 

 

 強制的に、意識を叩きつける。

 

 

 

 

Plain text

Link : TERMINATE

>> Forced Disconnect

 

 

 

 バチッ!!

 

 

 

 世界が戻る。

 

 

 

 重さが消える。

 

 

 

 感覚が切れる。

 

 

 

 

「……は、ぁ……」

 

 

 

 膝に手をつく。

 

 

 

 息が荒い。

 

 

 

 

「……お前」

 

 

 

 顔を上げる。

 

 

 

 リシアを睨む。

 

 

 

 

「……あれ、なんだよ」

 

 

 

 

 少しの沈黙。

 

 

 

 

「……言わない」

 

 

 

 

 はっきりと。

 

 

 

 

「……まだ」

 

 

 

 

 その一言で分かる。

 

 

 

 “知ってる”。

 

 

 

 

 でも。

 

 

 

 言わない。

 

 

 

 

 風が吹く。

 

 

 

 

 町は、まだ歪んでいる。

 

 

 

 

 繋げたはずなのに。

 

 

 

 

 安心は、どこにもなかった。

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