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第43話 「LINK ESTABLISHED」



 うまくいかない。

 

 何度やっても。

 

 

 繋がる。

 

 触れる。

 

 でも、ズレる。

 

 

 あと一歩で届くのに、

 

 

 その“一歩”が噛み合わない。

 

 

「……クソ」

 

 吐き捨てる。

 

 もう何回目かも分からない。

 

 

 成功してるようで、

 

 全部ハズレだ。

 

 

 手応えはある。

 

 でも、それだけだ。

 

 

 “成立してない”。

 

 

 

「……やめて」

 

 

 リシアの声。

 

 さっきより近い。

 

 

「それ、無理にやるもんじゃない」

 

 

 淡々としてる。

 

 でも、前より硬い。

 

 

「壊れるよ」

 

 

 短い。

 

 

「もう壊れてるだろ」

 


 即答する。

 

 

 足の感覚はズレてる。

 

 反応も遅い。

 

 

 でも、動く。

 

 

 なら問題ない。

 

 

「……違う」

 

 リシアが一歩踏み出す。

 

 

 珍しい。

 

 自分から距離を詰めるのは。

 

 

「それ、“動いてるだけ”」

 

 

 目が合う。

 

 

 真っ直ぐだ。

 

 

「……止まるよ」

 

 

 その言葉で、

 

 一瞬だけ、思考が止まる。

 

 

 でも。

 

 

 だからどうした。

 

 

 止まる前に使えばいい。

 

 

「……一回でいい」

 


 低く言う。

 

 

「一回、ちゃんと繋がれば」

 

 

 それでいい。

 


 手を伸ばす。

 

 

 距離はある。

 

 

 でも関係ない。

 

 

 今度は無理やりじゃない。

 

 

 合わせる。

 

 

 動き。

 

 位置。

 

 タイミング。

 

 

 ズレを潰す。

 

 

 

 呼吸を止める。

 

 

 視界を固定する。

 

 

 

 その瞬間。



 


Record.Blade : ERROR

>> Subroutine Locked


Link : STANDBY

>> Condition Aligning



 

 

「……来た」

 

 

 初めてだ。

 

 

 拒絶されてない。

 

 

 

 そのまま。

 

 

 

 踏み込む。

 

 

 

接続リンク

>> 状態:確立

>> 接続安定

 

 

 

 ――繋がる。

 

 

 

 完璧に。

 

 

 

 距離が消える。

 

 

 

 ズレがない。

 

 

 

 遅れもない。

 

 

 

 “触れている”じゃない。

 

 

 

 “成立している”。

 

 

 

「……は、はは……」

 

 

 笑いが漏れる。

 

 

 乾いた笑い。

 

 

 

「できるじゃねえか」

 

 

 

 今までの全部。

 

 

 全部間違ってた。

 

 

 

 これが正解だ。

 

 

 

 力を込める。

 

 

 

 対象が崩れる。

 

 

 一瞬で。

 

 

 完全に。

 

 

 

「――っ!」

 


 

 その直後。

 

 


接続リンク

>> ERROR

>> 接続時間超過

>> 強制切断

 

 

 

 切れる。

 

 

 

 強制的に。

 

 

 

 体が抜ける。

 

 

 

 今までとは違う。

 

 

 

 深い。

 

 

 

 持っていかれる。

 

 

 

「……っ、あ゛……!」

 

 

 

 膝が崩れる。

 

 

 

 視界が揺れる。

 

 

 

 呼吸が合わない。

 

 

 

 

「言ったでしょ」

 

 

 

 リシアの声。

 

 

 

 すぐ近く。

 

 

 

 いつの間にか、支えられている。

 

 

 

「それ、止まるって」

 

 

 

 淡々としてる。

 

 

 

 でも。

 

 

 

 ほんの少しだけ、

 

 

 

 声が揺れてる。

 

 

 

 

「……今の」

 

 

 

 息を整えながら言う。

 

 

 

「……見たことある」

 

 

 

 静かに続ける。

 

 

 

 視線が遠くに向く。

 

 

 

 

「……父が使ってた」

 

 

 

 

 初めて出る言葉。

 

 

 

 

「同じやつ」

 

 

 

 

「同じ表示」

 

 

 

 

 一瞬、息が止まる。

 

 

 

 

「……そのあと」

 

 

 

 

 言葉が少しだけ遅れる。

 

 

 

 

 

「……消えた」

 

 

 

 短い。

 

 

 

 

 でも。

 

 

 


 それで十分だった。

 

 

 

 

 

 空気が変わる。

 

 

 

 

 今の成功。

 

 

 

 

 その先。

 

 


 

 全部繋がる。

 

 

 

 

「……なんだよ、それ」

 

 

 笑う。

 

 

 

 乾いたまま。

 

 

 


「使ったら消えるってか?」

 

 

 

 

 冗談みたいに言う。

 

 

 

 

 でも。

 

 

 


 リシアは笑わない。

 

 

 

 


「……アーカイブ」

 

 

 

 

 ぽつりと落ちる。

 

 

 

 


「それ、あそこから来てる」

 

 

 

 

 

 初めて聞く名前。

 

 

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 

 

 妙に納得する。

 

 

 

 


 この力。

 

 

 

 

 

 このログ。

 

 

 

 

 

 この異常。

 

 

 

 

 

 

 全部、

 

 

 

 

 

 “普通じゃない場所”のものだ。

 

 

 

 

 

「……なるほどな」

 

 

 

 

 

 息を吐く。

 

 

 

 

 

 止める理由はできた。

 

 

 

 

 

 でも。

 

 

 

 

 

 

「……で?」

 

 

 

 

 

 顔を上げる。

 

 

 

 

 

 

「それでやめろって?」

 

 

 

 

 

 

 リシアは答えない。

 

 

 

 

 

 

 ただ、見ている。

 

 

 

 

 

 

 その目だけで、

 

 

 

 


 

 分かる。

 

 

 

 

 

 

 これは。

 

 

 

 

 

 “踏み込んだら戻れないやつだ”。

 

 

 

 

 

 

 それでも。

 

 

 

 

 

 

 口が動く。

 

 

 

 

 

 

「……使うしかねえだろ」

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