第38話 「止まった時点で」
軽い。
でも、
動く。
来る。
一体目。
踏み込む。
崩す。
二体目。
同じ。
三体目。
踏み込む。
――ズレる。
位置が違う。
でも押す。
崩れる。
四体目。
来る。
踏み込む。
触れる。
――抜ける。
そのまま殴る。
崩れる。
「……いける」
まだいける。
五体目。
踏み込む。
足が滑る。
違う。
“足りない”。
でも押す。
崩す。
六体目。
来る。
踏み込む。
触れる。
崩れない。
遅れて。
自分が揺れる。
「……っ」
視界がズレる。
七体目。
来る。
踏み込む。
踏めない。
「……は?」
足が合ってない。
位置が違う。
でも動く。
無理やり。
触れる。
崩れる。
同時に。
“消える”。
今度ははっきり。
腕。
短い。
「……っ」
止まる。
一瞬。
その隙。
次が来る。
踏み込む。
踏めない。
倒れる。
その瞬間。
止まる。
完全に。
体が固定される。
――アンカー。
動かない。
動けない。
「……は?」
視線だけ動く。
敵が来る。
でも、
当たらない。
距離がズレてる。
全部ズレてる。
「……何だよ、これ」
やっと出る。
短い。
後ろ。
リシア。
「……終わり」
それだけ。
一歩も動けないまま、
戦闘が終わる。
静かになる。
やっと、
理解する。
「……戦えてない」
遅い。
もう、
最初から。
成立していない。




