第37話 「止まった時には」
違和感はある。
でも、
動ける。
来る。
一体目。
踏み込む。
崩す。
問題ない。
二体目。
同じ。
止まらない。
三体目。
触れる。
――抜ける。
一瞬だけ。
そのまま押す。
崩れる。
「……いける」
口に出る。
四体目。
来る。
踏み込む。
崩す。
同時に。
“何かが減る”。
止まらない。
五体目。
踏み込む。
崩す。
また減る。
「……っ」
息が浅くなる。
でも、
止まらない。
六体目。
触れる。
崩れる。
同時に。
“明確に欠ける”。
動きが軽い。
軽すぎる。
「……やめて」
後ろ。
リシア。
短い。
でも、
無視する。
七体目。
踏み込む。
崩す。
削れる。
今度ははっきり。
「……やめろ」
少し強い。
でも、
止まらない。
八体目。
来る。
踏み込む。
触れる。
崩れる。
同時に。
“消える”。
一瞬遅れて気づく。
腕。
「……っ」
止まる。
さっきより。
明らかに軽い。
“ない”。
「……は?」
動かす。
動く。
でも。
何かが足りない。
九体目。
来る。
反射で動く。
踏み込む。
触れる。
――抜ける。
崩れない。
遅れて。
自分が揺れる。
「……っ」
視界がズレる。
立て直す。
「……来るな」
リシアの声。
今度ははっきり。
振り向く。
距離が遠い。
さっきより。
「……なんだよ」
自分の声が、
少しズレる。
「……それ」
リシア。
「……戻ってない」
それだけ。
理解する。
遅れて。
今までの全部。
“戻ってない”。
「……は?」
言葉が出ない。
腕。
軽い。
いや。
“薄い”。
止まる。
やっと。
止まる。
でももう。
遅い。




