第3話 「踏んだはずの場所に、いない」
踏む。
違う。
踏んだ感覚。
ある。
でも。
位置が違う。
「……チッ」
もう一度。
踏む。
同じ。
ズレる。
「……なんだよ」
視線を落とす。
足。
地面にある。
でも、
“そこじゃない”。
一歩。
前に出る。
距離。
合っていない。
後ろを見る。
さっきの位置。
違う。
「……距離も狂ってる」
「……最初から」
隣。
リシア。
同じ場所を見ている。
「……お前」
「……ズレてる」
それだけ。
「……いや、そうじゃなくて」
言いかけて、
止まる。
通じている。
それで十分だ。
もう一歩、
踏み出す。
今度は。
“踏んでいないのに踏んでいる”
「……は?」
逆。
順番が、
成立していない。
壁を見る。
位置が揺れている。
「……おい」
手を伸ばす。
届く。
でも。
遠い。
距離と結果が一致しない。
「……合わせろ」
リシア。
「……どうやって」
「……見てから動け」
短い。
従う。
一瞬、
止まる。
ズレを見る。
踏む。
一致する。
「……っ」
「……そこ」
リシアの声。
その通りに動く。
ズレが止まる。
「……慣れてるな」
「……前から」
一瞬。
視界。
暗い。
路地。
血。
銀髪の女。
倒れている。
「……見えてるなら」
目が合う。
「……生きる」
戻る。
「……今の」
「……出会い」
それだけ。
説明はない。
でも。
分かる。
最初から、
同じ側だった。
その瞬間。
空間が揺れる。
一歩、
遅れる。
音も。
遅れる。
「……広がってる」
「……止まらない」
壁を見る。
ひび。
細い。
でも。
確実に、
広がっている。
「……これ」
「……もう止まらない」
ログ。
【状態:正常】
「……ふざけんな」
世界ごと、
狂っている。




