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ログで世界を支配する〜追放された俺、観測能力で最強国家を作り直す〜  作者: イケメン☆スーツ
第1章 無能と追放された俺、世界の“ログ”に触れる
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第27話 「名前が消える前に」


 ――違和感は、隣にいた。


 歩調が、わずかにズレる。

 横にいるはずの気配が、半歩遅れる。


 いや、違う。

 遅れているんじゃない。


 “位置が合っていない”。



 視線を向ける。

 いる。

 確かにいる。


 だが――


「……今、動いたか?」


 足は止まっている。

 なのに、位置だけが微妙にずれている。


 ログ展開。



【ログ】

対象:リシア

状態:存在

異常:座標未確定


 ……未確定。

 その一文で、理解する。


 これはまずい。


「こっち来い」


 腕を掴む。

 感触はある。


 だが、軽い。

 妙に軽い。


「……聞こえてる?」

「え? 聞こえてるけど……どうかした?」


 声は正常。

 反応もある。


 だが、

 距離が合っていない。


 声の位置と、体の位置が一致していない。


 手を強く引く。

 一歩、近づける。


 その瞬間。


 ズレた。

 腕の位置が、わずかに滑る。


 掴んでいるはずの場所と、実際の位置が一致しない。


 ――消える。

 その言葉が、頭をよぎる。


 ログ。


異常:座標未確定


 座標。

 つまり、“どこにいるか”が決まっていない。


 なら。


 存在はしている。

 だが、位置が固定されていない。


 だから、ズレる。

 だから、触れられない。


 だから――

 消える。


「……離れるな」

「え、ちょ――」


 手首を掴み直す。


 今度は強く。

 ズレる前に、固定するように。


 その時。

 空気が、歪んだ。


 視界の端。


 “何か”が動く。

 振り向く。


 輪郭だけの存在。

 形は人に近い。


 だが、情報が足りない。


 ログ。


【ログ】

対象:不明

状態:存在

異常:識別不可


 来たか。


 足場がズレる。

 距離が狂う。


 視界が歪む。

 その“何か”が、こちらへ踏み込む。


 速い。

 だが――


 問題はそこじゃない。


 ズレている。

 攻撃の軌道と、認識が一致しない。


 回避。


 のはずが、肩をかすめる。


 後ろで、声が揺れる。


「きゃっ――!」


 振り向く。

 位置が違う。


 さっきまでいた場所から、半歩ずれている。


 ログ。


対象:リシア

状態:存在

異常:座標不安定(進行) 


 進行。


 クソ。

 時間がない。


 これは攻撃じゃない。


 侵食でもない。

 観測の奪取だ。


 位置の定義を奪われている。


 だからズレる。

 だから消える。


 ならやることは一つ。


 定義を固定する。

 ログを引き上げる。


 表層じゃ足りない。

 もっと下。


 観測の基準へ。


【ログ:基底】

対象:リシア

項目:座標定義

状態:外部依存


 外部。

 つまり、引っ張られている。


 なら。

 切る。


【更新】

対象:リシア

座標定義:自己基準へ変更

同期:遮断 


 その瞬間。


 手応えが変わる。

 軽さが消える。


 ズレが止まる。


「……え?」


 驚いた声。

 今度は位置が一致している。 


 固定した。 


 だが――

 空気が、さらに歪む。


 “何か”の数が増える。


 ログ。


【ログ:警告】

干渉対象:拡張

観測奪取:継続中


 対象拡張。 


 つまり次は――

 こっちか。


 舌打ち。


 視線を前へ。


 “それ”が、再び踏み込んでくる。

 今度は、ズレない。


 踏み込み。


 拳。

 当たる。

 確実に。


 弾ける。

 だが、消えない。


 再構成。


 ログ。


対象:不明

状態:再構成

異常:観測干渉体


 ……なるほど。


 敵じゃない。

 仕組みそのものだ。


 なら――

 倒すんじゃない。


 上書きする。


 ログを開いたまま、構え直す。


 後ろの気配は、まだある。

 消えていない。


 だが、


対象:リシア

状態:存在

異常:軽微ズレ(残存)


 完全じゃない。

 まだ、奪われている。


 なら――

 終わっていない。


 もう一段、深く行く必要がある。


 視線を落とす。

 ログの奥へ。


 観測の、さらに内側へ。


 ――次で、決める。

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