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ログで世界を支配する〜追放された俺、観測能力で最強国家を作り直す〜  作者: イケメン☆スーツ
第1章 無能と追放された俺、世界の“ログ”に触れる
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第24話 「最初から、見られていた」


 ――繋がった。

 

 その感覚だけが、妙に鮮明に残っていた。

 

 触れた瞬間の、あの“引っかかり”。

 

 ただの違和感じゃない。

 

 何かに“認識された”ような、嫌な感触。

 

「……っ」

 

 息を吸う。

 

 空気が、重い。

 

 いや、違う。

 

 重いんじゃない。

 

 “合ってない”。

 

 

 足元を見る。

 

 

 地面は、いつも通りそこにある。

 

 石も、建物も、何も変わっていない。

 

 

 なのに。

 

 

 妙に、現実感が薄い。

 

 

「……おい」

 

 

 思わず声が出る。

 

 

 さっきまでと、何かが違う。

 

 

 決定的に。

 

 

「……リシア」

 

 

「……うん」

 

 

 少しだけ、間があった。

 

 

 その返事で分かる。

 

 

 こいつも感じてる。

 

 

「……今の」

 

 

「……見てた」

 

 

 短い返答。

 

 

 でも、それで十分だった。

 

 

「……やばいか」

 

 

「……」

 

 

 返事がない。

 

 

 珍しい。

 

 

 こいつなら、いつもなら即答する。

 

 

 危険かどうか。

 

 

 判断できるはずだ。

 

 

 でも。

 

 

 今は違う。

 

 

「……」

 

 

 数秒。

 

 

 ようやく、口を開く。

 

 

「……あんまり、よくない」

 

 

 小さい声だった。

 

 

 でも、はっきり分かる。

 

 

 断定できていない。

 

 

 それが逆に、やばい。

 

 

「……は」

 

 

 乾いた笑いが漏れる。

 

 

 完全にやらかした。

 

 

 分かってた。

 

 

 危ないって。

 

 

 触るべきじゃないって。

 

 

 それでも。

 

 

 触れた。

 

 

 その結果が――これだ。

 

 

 

 その瞬間。

 

 

 

 視界が、ズレた。

 

 

「……っ」

 

 

 一瞬。

 

 

 ほんの一瞬だけ。

 

 

 自分の手が、違う場所にあった。

 

 

 視線と、位置が噛み合っていない。

 

 

 戻る。

 

 

 何事もなかったように。

 

 

「……今の、見たか」

 

 

「……見た」

 

 

 即答。

 

 

「……ズレてる」

 

 

「……俺が?」

 

 

「……うん」

 

 

 迷いがない。

 

 

 それが、妙に現実味を帯びる。

 

 

 

【ログ】

対象:自身

状態:位置ズレ(軽微)

 

 

「……はは」

 

 

 笑えない。

 

 

 完全に。

 

 

 立場が逆になってる。

 

 

 さっきまで、触れてた側だったのに。

 

 

 今は。

 

 

 ――見られてる側だ。

 

 

「……逆だな」

 

 

「……そうだね」

 

 

 リシアの声が、少し低い。

 

 

 珍しい。

 

 

 感情が、乗ってる。

 

 

「……見られてる」

 

 

「……ああ」

 

 

 短く返す。

 

 

 否定できない。

 

 

 はっきりと感じる。

 

 

 視線。

 

 

 どこからか、確実に。

 

 

 

 その時。

 

 

 

 遠くで、声が上がった。

 

 

「……?」

 

 

 反射的に振り向く。

 

 

 少し離れた場所。

 

 

 一人の男が、よろける。

 

 

 足をもつらせて、そのまま崩れ落ちる。

 

 

「……っ」

 

 

 地面に叩きつけられる。

 

 

 ……はずだった。

 

 

 でも。

 

 

 おかしい。

 

 

 落ち方が、ズレている。

 

 

 地面と接触する位置が、合っていない。

 

 

 ほんの数センチ。

 

 

 でも、確実に。

 

 

「……なんだよ、あれ」

 

 

 

【ログ】

対象:通行人

状態:位置ズレ(中)

 

 

「……増えてる」

 

 

 リシアが、小さく言う。

 

 

「……広がってる」

 

 

 続けて、もう一言。

 

 

 声が、少しだけ硬い。

 

 

「……だろうな」

 

 

 吐き捨てる。

 

 

 これはもう。

 

 

 偶然じゃない。

 

 

 影響だ。

 

 

 明確に、現実に出てる。

 

 

「……ねえ」

 

 

 呼ばれる。

 

 

 少しだけ、間がある。

 

 

「……これ」

 

 

「……ああ」

 

 

「……どうする」

 

 

 短い。

 

 

 余計な言葉がない。

 

 

 完全に、判断をこっちに投げている。

 

 

「……」

 

 

 考える。

 

 

 逃げるか。

 

 

 でも。

 

 

 無理だ。

 

 

 もう繋がってる。

 

 

 切れてない。

 

 

 さっきの感覚が、まだ残ってる。

 

 

 あの“繋がり”が。

 

 

 消えていない。

 

 

「……やるしかねえだろ」

 

 

 小さく言う。

 

 

 これはもう。

 

 

 選択じゃない。

 

 

 結果だ。

 

 

「……」

 

 

 リシアが黙る。

 

 

 数秒。

 

 

「……やるんだ」

 

 

「……ああ」

 

 

「……分かった」

 

 

 一拍。

 

 

 少しだけ息を吸って。

 

 

「……一人じゃ無理」

 

 

「……」

 

 

「……一緒にやる」

 

 

 それだけ。

 

 

 でも。

 

 

 十分だった。

 

 

 こいつは、逃げない。

 

 

 そういう顔をしてる。

 

 

 

 踏み込む。

 

 

 さらに深く。

 

 

 “繋がり”へ。

 

 

 さっきよりも、はっきりと。

 

 

 意識を滑り込ませる。

 

 

「……っ」

 

 

 頭が軋む。

 

 

 感覚がズレる。

 

 

 でも、止めない。

 

 

 

 その瞬間。

 

 

 

 はっきりと分かった。

 

 

 

 “増えた”。

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 視線が、一つじゃない。

 

 

 複数。

 

 

 いや。

 

 

 もっとだ。

 

 

 数えられない。

 

 

 

 全部。

 

 

 こっちを見ている。

 

 

 

【ログ】

対象:不明個体

状態:観測(複数)

 

 

 

「……っ」

 

 

 息が止まる。

 

 

 

「……増えてる」

 

 

 リシアの声。

 

 

 

「……やばい」

 

 

 

 その一言だけ。

 

 

 

 それで、全部伝わる。

 

 

 

 囲まれている。

 

 

 

 完全に。

 

 

 

 逃げ場はない。

 

 

 

 気づいた時には。

 

 

 

 もう。

 

 

 

 遅かった。

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