表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログで世界を支配する〜追放された俺、観測能力で最強国家を作り直す〜  作者: イケメン☆スーツ
第1章 無能と追放された俺、世界の“ログ”に触れる
17/52

第17話 「俺がいるだけで、壊れる」

 ズレは、見えるようになっていた。

 

 意識しなくても、分かる。

 

 人の足。

 

 手の位置。

 

 物の軌道。

 

 

 ほんのわずか。

 

 だが、確実に。

 

 


【ログ】

対象:周囲

状態:軽微な干渉残留

 

 

 残っている。

 

 

 消えていない。

 

 

「……」

 

 

 視線を動かす。

 

 

 通行人の手が、ほんのわずかにずれる。

 

 

 持っていた小物が、落ちかける。

 

 

「……っ」

 

 

 反射的に、意識が向く。

 

 

 ――触れるな。

 

 

 止める。

 

 

 抑える。

 

 

 

 落ちるはずだった物は、かろうじて持ち直される。

 

 

 何も起きない。

 

 

 

 ――起きなかっただけだ。

 

 

 

 息を吐く。

 

 

 

「……抑えられていますね」

 

 

 リシアの声。

 

 

 

「……たまたまだ」

 

 

 

「そうかもしれません」

 

 

 

 だが。

 

 

 

「前回よりは安定しています」

 

 

 

「……そうかよ」

 

 

 

 視線を外す。

 

 

 

 少しだけ。

 

 

 ほんの少しだけ。

 

 

 

 扱えるようになっている。

 

 

 

 それでも。

 

 

 

 完全じゃない。

 

 

 

「……なあ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「ここにいると」

 

 

 言葉を選ぶ。

 

 

 

「壊すな」

 

 

 

 リシアは、すぐに答えた。

 

 

 

「はい」

 

 

 

 迷いがない。

 

 

 

「滞在を続ければ、影響は増加します」

 

 

 

 淡々とした説明。

 

 

 だが、それで十分だった。

 

 

 

「……だよな」

 

 

 

 ここにいるだけで、壊す。

 

 

 

 それが現実だ。

 

 

 

「……外はどうなってる」

 

 

 

「他にも街はあります」

 

 

 

「強度の異なる領域も存在します」

 

 

 

「……強度?」

 

 

 

「干渉の影響を受けやすい場所と、そうでない場所があります」

 

 

 

 初めて出る情報。

 

 

 

「……じゃあ」

 

 

 

「ここは?」

 

 

 

「影響を受けやすい側です」

 

 

 

 即答。

 

 

 

 つまり。

 

 

 

 ここにいるほど、壊れる。

 

 

 

「……あいつみたいなのもいるのか」

 

 

 

「存在します」

 

 

 

「……そうかよ」

 

 

 

 視線を落とす。

 

 

 

 ここにいても、分からない。

 

 

 止め方も。

 

 

 扱い方も。

 

 

 

 なら。

 

 

 

「……出る」

 

 

 

 今度は、迷わない。

 

 

 

 リシアは、何も言わない。

 

 

 

 ただ、一度だけ頷く。

 

 

 

「合理的です」

 

 

 

 それだけ。

 

 

 

 だが。

 

 

 

 十分だった。

 

 

 

 街の出口へ向かう。

 

 

 

 見慣れた景色。

 

 

 

 変わらないはずの場所。

 

 

 

 ――その中で。

 

 

 

 また、ズレる。

 

 

 


【ログ】

対象:前方

状態:位置ズレ発生

 

 

 小さい。

 

 

 だが、確実に。

 

 

 

 足を止める。

 

 

 

 触れない。

 

 

 

 ただ、見る。

 

 

 

 それでも。

 

 

 

 そこにある。

 

 

 

「……ここにいる限り、消えねえな」

 

 

 

 小さく呟く。

 

 

 

 答えは、もう出ている。

 

 

 

「行きましょう」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 一歩、踏み出す。

 

 

 

 街の外へ。

 

 

 

 壊さないために。

 

 

 

 そして。

 

 

 

 壊れた理由を、知るために。

 

 

 

 ――ズレを連れて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ