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ログで世界を支配する〜追放された俺、観測能力で最強国家を作り直す〜  作者: イケメン☆スーツ
第1章 無能と追放された俺、世界の“ログ”に触れる
15/50

第15話 「俺の一撃だけは、通じた」

 揺れは、消えていない。

 

 街は静かだった。

 

 人は歩き、声もある。

 

 何も変わらない。

 

 

 ――そう見えるだけだ。

 

 


【ログ】

対象:周囲

状態:干渉残留

 

 

 残っている。

 

 

 さっきのズレが。

 

 

 薄く、広く。

 

 

「……収まってねえな」

 

 

「はい」

 

 

 リシアが答える。

 

 

「広がりは抑えられていますが、消えてはいません」

 

 

「……だろうな」

 

 

 息を吐く。

 

 

 止められていない。

 

 

 ただ、鈍っただけだ。

 

 

 

 その時。

 

 

 空気が変わった。

 

 

「どけ。邪魔だ」

 

 

 低い声。

 

 

 人の流れが、自然に割れる。

 

 

 誰も逆らわない。

 

 

 逆らう理由がない。

 

 

 

 そいつは、真っ直ぐ歩いてきた。

 

 

 無駄がない。

 

 

 隙もない。

 

 

 

 目が合う。

 

 

 

「……お前か」

 

 

 

 足が止まる。

 

 

 

「さっき、妙なことやってたの」

 

 

「……知らねえな」

 

 

 

 軽く笑う。

 

 

「いいねえ」

 

 

 

 興味だけの顔。

 

 

 

「スキルは?」

 

 

「ねえよ」

 

 

 

 ほんの少しだけ、目が細くなる。

 

 

 

「……見えてるな?」

 

 

 

 一歩。

 

 

 

「じゃあ――試させろ」

 

 

 

 来る。

 

 

 


【ログ】

対象:前方

状態:高速接近

 

 

 速い。

 

 

 見える。

 

 

 だが、速い。

 

 

 

 拳が来る。

 

 

 直線。

 

 

 当たる。

 

 

 

 ――ズラす。

 

 

 

 軌道が、わずかに逸れる。

 

 

 頬の横を掠める。

 

 

 

「……ほう」

 

 

 

 止まる。

 

 

 

「今の、避けたのか」

 

 

「……さあな」

 

 

 

 ギリギリだ。

 

 

 全部はズラせない。

 

 

 

「いいねえ」

 

 

 笑う。

 

 

「スキルじゃねえな、それ」

 

 

 

 次が来る。

 

 

 


【ログ】

対象:攻撃軌道

状態:確定直前

 

 

 速い。

 

 

 さっきより、明確に。

 

 

 

 読む。

 

 

 位置。

 

 

 結果。

 

 

 

 ――一瞬、時間が遅れる。

 

 

 当たる“結果”だけが先に見える。

 

 

 

 そこに、手を合わせる。

 

 

 

 ズラす。

 

 

 

 それでも、掠める。

 

 

 衝撃が走る。

 

 

 

「当たってるぞ」

 

 

 余裕の声。

 

 

 

「……分かってる」

 

 

 

 足りない。

 

 

 全部は操作できない。

 

 

 

 だが。

 

 

 

 見えている。

 

 

 

 次の“結果”が。

 

 

 

「……そこだ」

 

 

 


【ログ】

対象:位置関係

状態:未確定

 

 

 踏み込む。

 

 

 ズラす。

 

 

 

 重心が、ほんのわずかに崩れる。

 

 

 

 一瞬。

 

 

 

 叩き込む。

 

 

 

 ――当たる。

 

 

 

 手応え。

 

 

 

 男が、半歩下がる。

 

 

 

「……それか」

 

 

 

 初めての理解の声。

 

 

 

「なるほどな」

 

 

 

「そういう類か」

 

 

 

 目が変わる。

 

 

 完全に理解した顔。

 

 

 

「当てたな」

 

 

 

「……一発だけな」

 

 

 

 息が荒い。

 

 

 

 勝てる気はしない。

 

 

 

 それでも。

 

 

 

 通じた。

 

 

 

「いいねえ」

 

 

 笑う。

 

 

「面白えな、お前」

 

 

 

 その時。

 

 

 リシアが、一歩前に出た。

 

 

 

 何も言わない。

 

 

 

 ただ、立つ。

 

 

 


【ログ】

状態:干渉増加

要因:第二観測者

 

 

 空気が変わる。

 

 

 

 男の視線が、リシアに向く。

 

 

 

「……ああ」

 

 

 納得したように頷く。

 

 

 

「そっちもいるのか」

 

 

 

 小さく息を吐く。

 

 

 

「……今日はここまでだな」

 

 

 

「は?」

 

 

 

「お前だけなら、もう少しやれた」

 

 

 視線が戻る。

 

 

「だが――」

 

 

 リシアを見る。

 

 

 

「それは面倒だ」

 

 

 

 淡々とした判断。

 

 

 

「……またやろうぜ」

 

 

 

 一歩引く。

 

 

 

「次は――」

 

 

 

 一瞬、笑う。

 

 

 

「ちゃんと殺しに来い」

 

 

 


【ログ】

対象:男

状態:離脱

 

 

 消えた。

 

 

 

「……なんだよ、あいつ」

 

 

 

 息を吐く。

 

 

 全身が重い。

 

 

 

「強いですね」

 

 

 リシアが言う。

 

 

 

「……だな」

 

 

 

 間違いなく格上。

 

 

 

 それでも。

 

 

 

「通じた」

 

 

 

 一拍。

 

 

 

 それだけで、十分だった。

 

 

 

 ――そう思うはずだった。

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 まだ、足りないと感じている。

 

 

 

 初めて思う。

 

 

 

 これは。

 

 

 

 “戦える力”じゃない。

 

 

 

 ――“届くための力”だ。

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