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ログで世界を支配する〜追放された俺、観測能力で最強国家を作り直す〜  作者: イケメン☆スーツ
第1章 無能と追放された俺、世界の“ログ”に触れる
12/51

第12話 「ズレは、もう止まらない」

 街は、何も変わっていなかった。

 

 人が行き交い、声が交わされる。

 

 当たり前の光景。

 

 

 ――表面は。

 

 


【ログ】

対象:周囲

状態:安定

 

 

 整っている。

 

 動きに無駄がない。

 

 

「……揃いすぎだな」

 

 

「スキルによる最適化です」

 

 

 リシアの声は変わらない。

 

 

「この世界では一般的なものです」

 

 

「……そうかよ」

 

 

 視る。

 

 

 


【ログ】

対象:前方の男

状態:スキル発動中

 

 

 分かる。

 

 次の動きも。

 

 

 だから――

 

 

 触れられる。

 

 

 ほんの少し。

 

 

 ズラす。

 

 

 

 男の足が、わずかに遅れる。

 

 

「……ん?」

 

 

 小さな違和感。

 

 

 すぐに修正される。

 

 

 問題はない。

 

 

 

「……やめてください」

 

 

 リシアの声。

 

 

 低い。

 

 

「……何がだ」

 

 

「干渉が残っています」

 

 

「……残るのか」

 

 

「はい」

 

 

 それだけ言って、歩き続ける。

 

 

 

 その時。

 

 

 前方で、声が上がった。

 

 

「――っ!?」

 

 

 振り向く。

 

 

 さっきの男。

 

 

 剣を振り下ろす、その瞬間――

 

 

 ほんのわずかに、軌道がズレる。

 

 

 

 刃が、隣の男の肩を浅く裂いた。

 

 

「な……っ」

 

 

 血がにじむ。

 

 

 本人は理解していない。

 

 

 周囲も、すぐに視線を戻す。

 

 

 偶然。

 

 

 そう処理される。

 

 

 

 ――違う。

 

 

 

「……今のは」

 

 

 足が止まる。

 

 

 


【ログ】

対象:前方の男

状態:軌道補正ズレ

 

 

 残っている。

 

 

 さっきの“ズレ”が。

 

 

 

「……影響が拡大しています」

 

 

 リシアが言う。

 

 

「制御できていません」

 

 

 断定。

 

 

 

「……俺のせいか」

 

 

 口に出る。

 

 

 答えは分かっていない。

 

 

 だが。

 

 

 否定できない。

 

 

 

「断定はできません」

 

 

「ですが、関係はあります」

 

 

 逃げ道はない。

 

 

 

 その時。

 

 

 別の音。

 

 

 ――ガタン。

 

 

 振り向く。

 

 

 荷車が、わずかに傾いている。

 

 

 誰も触れていない。

 

 

 なのに。

 

 

 軸が、ずれている。

 

 

 


【ログ】

対象:荷車

状態:位置ズレ

 

 

「……おい」

 

 

 思わず声が出る。

 

 

 さっきだけじゃない。

 

 

 広がっている。

 

 

 

「……連鎖しています」

 

 

 リシアの声。

 

 

 わずかに、強い。

 

 

「干渉が局所に留まっていません」

 

 

 

 視界を巡らせる。

 

 

 人の流れ。

 

 

 動き。

 

 

 

 どこもおかしくない。

 

 

 ――はずなのに。

 

 

 どこか、ズレている。

 

 

 

「……止められるのか」

 

 

 無意識に出る。

 

 

「現時点では」

 

 

「困難です」

 

 

 短い。

 

 

 重い。

 

 

 

 息を吐く。

 

 

 

 理解していない。

 

 

 制御もできない。

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 触れてしまう。

 

 

 

 その時。

 

 

 すぐ横を、子どもが走り抜ける。

 

 

 何も考えずに、足を踏み出す。

 

 

 

 ――わずかに、ズレる。

 

 

 

「っ――」

 

 

 止まる。

 

 

 何も起きていない。

 

 

 だが。

 

 

 “起きかけた”。

 

 

 

 喉が、少しだけ乾く。

 

 

 

「……次に行きます」

 

 

 リシアが歩き出す。

 

 

 少しだけ速い。

 

 

 

 その背中を見ながら。

 

 

 もう一度、街を見る。

 

 

 

 変わらない。

 

 

 普通のまま。

 

 

 

 ――表面は。

 

 

 

 その下で。

 

 

 確実に、ズレている。

 

 

 

 止まらない。

 

 

 

 どこまでも。

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