出家
ディアがリウと教会に駆けつけると、すでに冒険者リーダーのランドとベスタが集合していた。
「おう、ディア待ってたぞ!」
ランドがディアの背中を強めに叩いて、遅いことに突っ込みを入れた。
「皆さん、おそろいのようですね!」
教会から、線の細い神父が出てきた。
「神父様、本日はよろしくお願いいたします。」
ベスタが神父に深々と頭を下げた。
「悪魔神様のお恵みがあらんことを!」
神父が手を合わせて笑顔でベスタに応えた。
「また、あの言葉か・・・・」
ディアはつい心の声が漏れてしまった!
「あなたは悪魔神様を信じていないようですね! それでもかまいません! そんなあなたの事も悪魔神様は、お守りくださいます」
神父は優し気な笑顔でディアに話しかけた。
「はぁ・・・・」
ディアはそんな神父のことが、やはりどこか気持ち悪かった・・・・
「それでは、皆さま中へお入りください」
ディア達はベスタを先頭に教会の中に入っていった。教会の中には神父の他にも多くの信者つまりは国民がベスタの出家を祝うために集まっていた。
「ベスタさん、出家の儀式おめでとうございます!」
信者たちはみな、ベスタの決心を褒めたたえた。
「ではベスタさんは、こちらに!」
ベスタは祭壇の前に用意された、少し豪華な椅子に座った。
「それでは、これから出家の儀式を始めます」
神父はそういうと、何やら聞いたことのない呪文のようなものを唱えた。
他の信者たちは、その呪文を恭しく聞いていた。ディアはあまりに長い呪文の詠唱に少しあくびが出た。横を見るとランドとリウもディアと同じように眠そうな表情をしていた。
「これで出家の準備が整いました! ベスタさん、神の部屋にお進みください!」
ベスタは少し恍惚の表情で祭壇の前に設けられた地下に通じる階段を降りていった。
ディア達はベスタの後に続いて、階段を降りようとすると、神父に止められた。
「ここからは出家するものだけが通ることが許されています」
ディア達は他の信者たちと共に、ベスタが戻ってくるのを待った。
「ベスタさんが出家を終えて戻って見えましたよ」
神父がそういうと、先ほどの階段を昇ってベスタが現れた。
「みなさん、私もやっと出家することができました! 皆様に悪魔神様のお恵みがあらんことを!」
ベスタはディア達に向かって他の国民達と同じ言葉を発した。
「悪魔神様のお恵みがあらんことを!」
ベスタに続いて、教会にいた信者たちが一斉に同じ言葉を発した。
「これで出家の儀式は終了です! ディアさんたちも出家なさりたいときは、いつでもおっしゃってください!」
神父は優しい笑顔でディアに語り掛けた。
ディアは心の中で、やはり、この神父は気持ち悪いと感じていた。そして今のベスタは新譜やほかの信者と同じように気持ち悪いと感じる存在になっていた・・・・
「いったい、あそこで何を・・・・」
ディアは疑問に思いながらも、早くこの場所から離れたいと思い、早々と教会を後にした。




