ロバート砲
「ワク様、ここからレーン共和国領ですな」
ロバートは馬に乗って移動していることが嬉しかった。他の冒険者が徒歩であるため、部下ができたような気分であった。
「そんなことよりも・・・・」
同じく騎乗しているチンクルはあたりを見回しながら、なにやら落ち着かない様子である。
「ああ、見てる奴らがいるな・・・・駐屯地のときからずっとだが!」
ワクは監視に気付いているようであるが、ほとんど気にしていないようである。
「えっ、そんなに前からですか!」
チンクルは駐屯地での戦いのときは目の前の敵を倒すことにばかり気を取られて、監視には気が付いていなかった!
「おまえもまだまだだな!」
ロバートはいつものようにチンクルをからかった。
「ロバート殿は、今も気づいていなかった様子ですが!」
チンクルはすかさず反撃を繰り出す。
「そ、そんなことはないぞ! 吾輩はだな・・・・うわああああっ」
ロバートはチンクルの会話の途中に、どこからか飛んできた大岩に吹き飛ばされてしまった!
「はははははっ、面白いな、お前は!」
ワクはチンクルの漫才のようなやり取りから、コントのような落ちで視界から消えたロバートを見て大笑いした。
「チンクル!」
真顔になったワクは目でチンクルに合図した。
「お任せを!」
チンクルは馬を降りて大金づちを構えた!
「がごっ! どごっ! ばがっ!」
チンクルは自分たちめがけて振ってくる大岩を、苦も無く次々と吹き飛ばしていく。
10人の冒険者たちは、突然雨の様に降り注ぐ大岩に、立ち尽くすばかりである。
「あそこだな!」
ワクは手にしていた長槍を騎乗したまま、投げつけた。
「どごおおおおおおおおっ」
ワクが投げた槍は数キロ離れた山の頂上にいた大男の足元に突き刺さった!
「チンクル外しちまった・・・・」
ワクは笑みを浮かべている・・・・どうやらわざと外したようである。
「どこのどいつだ! あんなもの投げつけやがったのは!」
ロバートが何事もなかったかのように、ワクのところに戻ってきた。
「ロバート、ちょっとこい!」
ワクはロバートの首筋を掴んだ!
「な、なにを・・・・」
ロバートは楽しそうなワクの表情を見て心底恐ろしくなる。
「ロバート行ってこい!」
ワクはそのままほぼ槍と同じ軌道でロバートを大男の足元まで投げつけた。
「うわああああああっ」
悲鳴をあげながら飛んでくる何かにさすがに気が付いた大男は、大鉈を手にした。
「舐めるなよ!」
大男は飛来するロバートめがけて、大鉈を振り降ろした。
「ガキイイイイ一!」
大男は見事大鉈を打ち抜いて、満足した表情を浮かべている。
「舐めてるのはお前の方だろ!」
大男の背後には両手にレイピアを手にしたロバートが立っていた。
「ゴンッ」
大男の持つ大ナタがおれて地面に転げ落ちる!
「貴様!」
大男は柄だけになった大ナタをロバートに向かって投げ捨てた。ロバートは余裕で投げられた柄をかわす。




