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捕縛

「おい見ろよ! やっぱりエルフって美男美女ぞろいだな」

 ランドは囲まれながらも軽口をたたいている。


「あんた、こんな時に何言ってるの!」

 リウはランドに突っ込んでは見せたが、それほど危機感はなかった! ランド達を囲んでいるのは、騎士が10人程度であった。10人という数は決して少なくはなかったが、美男美女で線が細いエルフでは、いくら囲まれても、自分たちがやられるとは考えられなかったためである。


「これはちょっとやばいかも・・・・」

 ランド達は自分たちの考えが少し甘かったことを、今更ながらに後悔した。彼らを囲むエルフの人数はどんどん増えていき今では、数も数えられないほどで、幾重にも囲まれている! 2人は、こんなことなら、さっさと逃げていればよかったと考えたが今更であった・・・・

 

 そんな時、エルフ大臣が囲みをかけ分けて、ランドとリウに姿を見せた。

「私はこの国の大臣である! 抵抗しないのであれば、この場で命を奪うようなことはしない・・・・無駄な抵抗はやめて投降しろ!」

 大臣は威厳を込めて2人に通告した。


「リウ・・・・どうする・・・・やるか?」

 ランドは迷っていた、確かに普通に考えれば、この人数相手に勝てる見込みはない・・・・しかしどこかを1点突破で逃げ出すことは、もしかしたらできるかもしれない・・・・


「あんた、もしかして・・・・怖いこと考えてるよね・・・・せっかく助けてくれるって言ってるんだから・・・・ここは・・・・わかったわね!」

 リウも1点突破の事は一度は考えた! しかし、そのことで命をかけるよりも温厚で知られるエルフが助けてくれるというなら素直に従おうと思ったのである。そもそもこの国に勝手に侵入してきたのは自分たちの方である。特に何の犯罪もおかしていない現状で、むやみやたらと戦う方がエルフの恨みを買うんじゃないかと冷静に判断していた。

 2人は剣を大臣の足元に放り投げて、手をあげた!


「よし捕らえよ」

 大臣の掛け声で複数のエルフが2人に縄を幾重にもかけて、ランドとリウは連行された。大きな犯罪がないエルフ国では、刑務所や留置場といった施設がなかった! ランドとリウはそれぞれ鍵のかかる別の部屋に閉じ込められた!


「エルフ王、殺人を犯した重罪人の人間2名をとらえました。」

 大臣は深々とお辞儀をしてエルフ王に報告した。

もちろん最初にディア達を引き入れた騎士たちが捕らえたランド達の顔を見て、ディア達と同一人物かどうかの確認を行った! 

 しかしエルフにとって、人間の顔の区別をつけることが困難でせいぜい性別の判定ができる程度であった。エルフの国に、複数組の人間がいるはずもなく、ちょうど男女のペアということもあり、ランドとリウの事を最初にエルフ国に入ってきた人間、つまりディア達と認定されることになった。

さらには、殺人などという重犯罪をエルフが行うはずもないため、唯一の侵入者であるランド達が犯人と断定された!

 エルフの歴史上空前の大犯罪を犯した人間の裁判は、一夜明けた翌日に開催されることになった。

 ランド達は何もわからないまま、何もない部屋でそれぞれ寂しく一夜を過ごした・・・・


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