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大慌て

「け、結界については、未だ不明でございます・・・・」

 2人のエルフは小声でディア達の事を説明した。


「なんと、何処もだれかもわからない人間たちを、ここまで。わざわざ連れてきたと申すか!」

 大臣はその透き通ったような白い肌を真っ赤にして声を荒げた。


「まあまて、大臣!」

 大臣を治めたのはエルフ王であった。


「時と場所を考えれば、その人間が結界消失に関わっている可能性は高い! この者たちの話を聞く限り、そう悪い人間でもなさそうじゃ! 結界を再び張るための情報を得られるかもしれぬ! ここに連れてまいることを許可する!」

 王は冷静に現状把握していた。


「お待ちください! そんなもの達を招き入れるのは危険でございます!」

 大臣はなおも反対した!


「この緊急時に、平常時のような考えでは何も解決しない!」

 大臣はエルフ王の決死に満ち溢れた目を見てそれ以上反対の言葉を発することはなかった!


「王よ! その者たちの出迎えに、私も同行することをお許しください!」

 大臣は王に合わせる前に、自らの目で人間たちを確認したかった。もし危険だと判断した場合、刺し違えてでも、それ以上の侵入を防がなければならないと考えていた。


「うむ、確実にここまで連れてきてくれ!」

 王は大臣を信頼していた! 自らの意見について、真正面から反対してくるのは大臣くらいなのである。そんな志ある、この男を信頼せずに誰を信頼できようかと彼は心から思っている。


 大臣は、早速2人のエルフ達とディア達を迎えるために向かった。彼はあえて、それ以上の騎士等を連れてはいかなかった。大げさにすることにより騒ぎを大きくしたくなかったこと、そして何より人間たちを刺激したくなかったからである!

 エルフ王が招き入れると決断した事に反対する気はなかったが、数百年、外部から一人たりとも侵入したことがなかったエルフ国である、何が起きるかわからない状況であることに間違いなかった!


「きゃああああああっ!」

 大臣たちが間もなくディア達の元に到着するという頃、町の広間の一角から耳をつんざくような悲鳴があがった!

 大臣と2人のエルフは急いで悲鳴の元に駆けつける!


「な、なんてことだ・・・・」

 大臣は言葉を失った・・・・


広場には胸を一突きにされ血を流しながら絶命している一人の婦人が倒れていた。エルフは非常に温厚な民族であり、数百年殺人事件は1件も起きていない! その中で起きた殺人事件であった! すでに夫人の周りには多くのやじ馬が群がっている!

「恐れていたことが起きてしまった・・・・」

 大臣は王の言を受け入れたことは後悔していなかったが、騎士等を連れてこなかったこと自分を責めていた。

 彼は2人の騎士に、その場をまかせて、自らは騎士団詰め所に向かった! こうなってしまっては人間を生かしておくわけにはいかなかった! 第2の犠牲者を出さないためにも一刻も早く討伐しなければならないと彼は考えていた!


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