解体処理
「うおおおおおおっ」
村の大人たちは、気合を入れて声をあげて、必死に鎌や斧を頭上に振り上げてディア達を威嚇している。
「こ、こんなので逃げてくれるの・・・」
奇声をあげているオスたちの列の後ろでは、メスたちが心配そうに様子を見ている。
「どうするんだ・・・・」
先頭のランドが、リウとディアの方をちらちらみて、何か意見を求めているようだ!
「・・・・」
ディアは、目をそらしている。
「と、とりあえず、何でもいいから1匹捕まえればいいんじゃない・・・・」
リウも、そういうとランドから目を反らした。
「1匹って・・・・」
ランドは仕方なく、剣を抜いた!
「ええええええっ!」
「ぎゃああああああああっ!」
目を血走らせたランドが剣を抜いたことで、オスたちは慌てて、村の中に逃げ出した! 手におたまやフライ返しをもっていたメスたちも慌てて、それぞれのいえに逃げ込んで扉を固く締めた。
「ちょっと、ランド! あんたがもたもたしてるから、逃げちゃったじゃないの!」
リウは空腹でイライラしていた。
「今のって、オレのせいなのか?」
ランドは納得できなかったが、それ以上話すとリウの怒りを買いそうだったので、剣を収めてゆっくりと村の中に歩を進めた。
ディア隊もランドに続いて村に入ったが、村の中には1匹の動物も見当たらなかった。どうやら皆、建物の中に逃げ込んだようであった。
村の中はよくある人間の村と何も変わりなく、洗濯ものが干してあったり、子供が遊ぶおもちゃが落ちていたりと、どうみても田舎のごく普通の村であった。
「えっ!」
リウの顔色が変わった。ディアとランドもリウの声に反応して、駆けつけた!
「こ、これは・・・・」
そこには、お尻の穴から口まで突き刺さった杭に串刺しにされた人間の姿があった。どうやら解体の途中だったらしく、内臓が抜かれ、皮がはがされている。
「あいつら、人間を喰ってやがる・・・・」
それまで、その生活様式から、少し食べるのをためらいかけていたランド達であったが、村の動物たちへの殺気で一杯になった。
ディアに関しては、人間の解体されかけている死体を見ても、ランド達ほどの怒りはわかなかった。ディア自身はまだ気が付いていないようだが、この時ディアの心は少しづつ、悪魔の心に浸食されていた。
「やるぞ!」
ランドの目つきが変わった。ランドは剣を抜いた。先ほどまでと違い、今のランドには村の動物たちを殺すことに何のためらいもなかった。
「皆殺しよ!」
リウの目はランド以上に怒りに震えていた。彼女の両親は獣型の魔物に喰い殺されていた。リウは村の解体された人間を見て、その時のことが脳裏に蘇っていた。
ディアは、特に人の死の事は気にしていなかったが、そろそろ食事の食材を採らないとという思いで、剣を抜いた。
「あ、あいつら、みんな剣を抜いてる・・・・」
建物の隙間からディア達の様子を見ていた獣たちは、その様子を見て震えあがっていた。




