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薫野みるく式小説の書き方  作者: 薫野みるく
物書き編(仮)
29/31

立ち上がれ、女性作家

 小説を書く理由は、人それぞれです。

 「何になりたいのか」でも書きましたが、自分が何を目指し、どうなりたいのかを明確にしてから、文章や小説に向き合った方が、求める結果を早く得られる傾向にあると思うのです。



 小説の書き方を指南する本、ネットで無料で見られる連載。いまはプロアマ問わず、「書き方」を発信する人がとても多いです。

 もちろん私もその一人ですが、私は聞こえのいい言葉で読者を増やそうとしているわけではないので、これまでの知識や経験から、ある事実をあなたにお伝えします。


 小説とは、そもそも楽しく書くものではない。


 私が「書くのが楽しい!」と、紙に向かってペンを走らせていたのは、もう十数年前でしょうか。なぜ楽しかったかというと、端的に申し上げて、文章が下手だったからです。

 会話が中心の、若い男子の一人称だったし、読者もまさかはじめから表現力を求めてもいないので、誰が書いても大差ない、消耗品に近かったでしょう。それなのに私は、自分は文章が書けるといい気になり、次第にこんな話が書きたい、それにはこういう装丁で本を作りたいと、深みにはまっていきました。


 一年二年、数年……と続けていると、自然と文章力は身につき、私は常に、何年か前に自分が出した同人誌をぱら読みしては、よくこんなものを形にしていたなと恥じるようになりました。

 まぁいわゆる黒歴史ですね。

 それでもやめられない同人活動の裏には、その元になる作品やカップリングへの執着だったり、歪んだ愛情だったり、承認欲求だったりと、あらゆる負の感情が渦巻いていたのですが、この長い年月が私を成長させたのは、間違いありません。


 人に伝わる、表現力や創造力に優れた小説を書くには、たくさんいやな思いをしなければなりません。

 わかりやすいところで、ある程度のいじめに遭うとか、学校や職場での人間関係に揉まれたりとか、何かの「被害者」になるとか。

 もちろん、進んでそういった場面に飛び込む必要はありませんが、当たり障りがない、平凡で平坦な毎日を送っている人には、「それなり」のものしか書けないのは、言うまでもなく。



 楽しく書いて、交流して、ネットだけで活動したい勢、敢えて個人ではなく「勢」としますが、その集団におけるあなたという書き手には、全く縁のない世界でしょう。

 いやいや、そんな本気じゃないし、この投稿だって、たまたま見つけただけだし。そう軽くあしらう「web作家」に、もうひとつ助言を。web小説だけ読んでいると、バカになりますよ。



 昔から、「テレビを見るとバカになる」と言われていました。

 テレビはバカを基準に作られており、最近は偏向報道などの問題も浮上しますが、ネットを使わない高齢者は、テレビのニュースこそ正しいと信じ切っているみたいです。まあ怖い。


 それと同じことが、web小説でも言えるのではないかと、私は思いました。

 異世界や男性向けご都合ラブコメ主流の小説投稿サイトは、バカのために作られたプラットホームです。

 目につきやすいところにあった「人気作」を読み、読者は作者に「期待」する。

 バカはバカを呼び、味をしめた運営は、客を集めるためにコンテストを行ったり、それに参加賞を設けたりと、利用者に付加価値を与えます。運営は広告収入を得るため、時に印象操作をも行います。

 書籍化作品の紹介だったり、あるいは公式レビュー、ランキング。

 多くの「web作家」が一番ほしいのは、「読まれる」「好意的な感想をもらう」という付加価値で、読者は、自分の欲望に近い作品を書いてくれる作者を応援する。

 運営、作者、読者の協力関係の中に、少数派の居場所はありません。web小説に限らず、だから情熱をもった能力者は日の目を見ず、バカが蔓延してしまう。私はその現場を、生で見てきました。



 ただ楽しくやりたいだけ。それも一つの選択肢だし、あなたに指図する権利は、私にはありません。

 ですが、それではいい作品を書くことは出来ない。みすみす可能性を潰してしまうのは、あまりにもったいないから、まずはあらゆるジャンルの映画を観てみることをお勧めします。

 自分の体験でなくても、登場人物に起こるさまざまな出来事を視覚的に取り込み、置き換えて考えることで、妄想力=創造力の訓練にもなります。


 そして、一時的な趣味としてではなく、長く続けたい、あるいはプロを目指すから、小説がうまくなりたい人は、いつかは覚悟するべきだと思います。

 自分の内面と向き合い、いい部分も、醜かったり、傲慢、強欲、自己嫌悪……。あらゆる不快や苦痛を伴う小説が、楽しく書けるなんて、絵空事です。

 小説では、おのれの生き様を晒してナンボですから、人間性の低さが窺えるような作品を発表したくはないですよね。



 私は、小説家にはなりたくありません。なんせ、書くのが遅いし、求められないしで、まず無理だと思うのですが、話を作るのがとにかく好きなので、いつかそれを別の形でお見せ出来たらと、それが当面の目標かな。



 いつの時代も、女性は強く誇り高い存在です。必ずや、歴史を塗り替えることが出来るのです。

 煩悩丸出しの男性作家がはびこるせいで、こうもweb小説界は堕落し、私たちは行き場をなくしました。

 さあ、立ち上がれ、女性作家。ネットも商業も、私たちが常識を覆し、新たなムーブメントを巻き起こし、至高の娯楽作品を後世に残すのです。


 いま、私に大きな夢が出来ました。迷える女性作家の道を照らす書き手でありたい。めっちゃ好み分かれますけど、それでいい。それがいい。

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