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聖女のパパも楽じゃない  作者: 2626


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第21話 同盟

 【機鋼魔兵】の訓練場兼試運転場にキールが朝早くに赴いた時。


 他の【聖騎士】達は「凄かったですね」とか「流石、元最強だ」とか、態度を変えて言ってきたのに対し、クラウスだけは出会い頭に露骨に無視してきたので、キールは逆におかしくなって笑ってしまった。


 「いや、若いなあ! 若いって良いなあ!」

一瞬だけ面食らった表情をしたクラウスの顔が、見る間に真っ赤に染まる。

「――貴様っ!」

鋭く叫ぶなり掴みかかってきた少年の頭を、キールは優しく撫でた。

「俺にもこんな時分があったっけなあ……。 あの頃を思い出すと恥ずかしくて泣きそうになるぜ」

「っ!!?」

咄嗟に後ずさったクラウスが、信じられないものを見るような目でキールを見上げた時。


 「パパー、どうしたの?」

「訓練の遅刻は、許されない」

【機鋼魔兵】同士による対戦訓練が始まらないので、パイロットスーツを着たマリとシルバーがやって来た。

『キールさんよ、何やってんだ? そんなに指を切り落とされたいのか?』

通信端末からもケレミアの訝し気な声がする。

「ああ、すぐ行くよ。 待たせてすまない」


 そう答えてキールもさっさと『ミッドナイト』の方に向かったが、ふと、足を止めてクラウスに訊ねた。

「なあ。 君の機体の愛称は何て言うんだ?」

「えっ?」

クラウスは戸惑ったが、ややあって答えた。

「……『モルゲンローテ』」

キールは穏やかに笑う。

「そうか。 良い名前だな」



 訓練を終えたキール達が家に帰ろうとしたら、ケレミアが何気なく話しかけてきた。

「おい。 シルバー、お前……マリと友達になったのか!?」

シルバーはいつもの調子で答える。

「同盟を、締結しただけ」

「何の?」

「生存の、同盟」

成程ね、とそれだけで彼女は事情を悟ったらしい。

しばし考えを巡らせて――。


 「それ、私も入れて貰っても良いかい?」


 「わたしは、賛成。 マリ、貴方はどう?」

シルバーはすぐに頷いた。

何故ならケレミアは2年前に一線を退いたとは言え、今でも通用する実力者だからだ。


 「……パパを拷問しないなら」

マリの冷たい視線など物ともせず。

ましてや、理解と対応が追い付かないキールのことなど完全に気にも留めず。

「え! え!? あ、あ、ちょっと――」


 「拷問か。 男を拷問するのは大好きなんだけど、我慢するしか無いかー」

驚き慌てる彼の肩に手を回し、ぐいぐいと引きながらケレミアはニヤッと笑うのだった。

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