第12話 いざ、初顔合わせへ
「あー、あっちぃなぁ……」
俺の名前は、月潟勇魚、高校生だ。
俺を一言で表すなら――平凡そのもの
身長173センチ、体重60キロ。黒髪で勉強はそこそこ、運動神経もそこそこ。
どこにでもいる、ごく普通の高校生ってやつだ。
部活にも入っていない俺は、今日も授業が終わると早々に学校を後にし、帰宅の途についていた。
「おい勇魚、毎日そんなに早く帰って何してんだよ?」
「ほんとそれ。何かハマってるもんでもあるのか? ゲームとか?」
「ああ、ゲームといえば『アルティメット・クロニクル』って知ってる?俺、最近始めたんだけどめっちゃ面白いぜ!」
「へぇ、俺もやってみようかな。クラスでもやってるやつ多いし。勇魚は?」
話しかけてきたのは、同じ高校の友達のケンジとハジメ。
小学生の頃からの付き合いで、帰る方向が同じって理由だけで今も一緒に帰っている悪友みたいなやつらだ。
「い、いやいや、俺はゲームとかあんまりやらないし……家でのんびりするのが好きなだけだって」
「つまんねーの。あっ、そういや隣のクラスの蒼井すみれもアルクロやってるらしいぜ」
「ほ、本当か!?あの学園のアイドルが!?」
「ああ、ゲーム内で知り合うためにわざわざ購入する男子が続出してるらしい」
「はっ、なんだよそれ……ま、まあ、俺も……始めてみてもいいかもな……」
「欲望に忠実なやつは嫌いじゃないぜ」
――蒼井すみれ。
彼女は俺と同じ高校に通う女生徒で、容姿端麗・成績優秀・運動万能。
男女問わず人気の完璧超人みたいな存在だ。
まさか、そんな学園のアイドル的存在までアルクロをプレイしているとは。
一瞬「へえ」と興味を引かれたが、すぐに「ソロ専門の俺には関係ないか」と気持ちを切り替えた。
家に着くと、俺は部屋に直行してベッドにダイブする。
「……そろそろか」
ベッドから起き上がり、ゲームの準備を始めた。
もちろん、そのゲームとは『アルティメット・クロニクル』だ。
ゲーム内での俺の名は――ラグナ。
リアルではそれなりに友達もいるが、ゲームでは面倒くさがりな性格が出て、完全ソロプレイ専門。
プレイヤー名は【孤高の魔剣士・ラグナ】
このことは、リアルの知り合いには絶対に知られてはいけない秘密だ。
……よし、話を戻そう。
アルクロでアストラル・シェイドを倒し、魔王となってから一週間。
その間もちょくちょくソロで【金輪奈落の大魔宮】に潜り、自分のレベルを上げてきた。
そして、今日がその【魔王】として初めて配下のプレイヤーたちとの初顔合わせの日だ。
スマホを開き、アストラル君から届いたメールを確認する。
件名:魔王軍幹部との顔合わせについて
差出人:アストラル君
親愛なる魔王ラグナ様へ
魔王軍の幹部【六魔将】のプレイヤーの方々との顔合わせを七月三日十八時より予定しております。
ラグナ様のご都合はいかがでしょうか?
お手数をおかけいたしますが、ご確認の上ご返信いただけますと幸いです。
……今日が七月三日で、現在十七時。
あと一時間で初顔合わせが始まる。
俺は台所で作った自作のおにぎりをかき込み、エナジードリンクを一気に飲み干した。
よし、準備完了、あとは覚悟を決めるだけだ。
部屋でスマホを眺めたりしながら時間を潰しているうちに、気づけば18時が目前に迫っていた。
「……はあ。観念してログインするか」
ヘッドセットを装着し、ベッドに横たわる。
アストラル君から届いたリンクをクリックすると、画面にメッセージが浮かんだ。
『アストラル君から招待リンクが届いています。招待を受けますか?』
もちろん『はい』を選択する。
瞬間、視界が暗転し、体が淡い光に包まれた。
ふわりと浮くような感覚。異空間を通り抜けるような不思議な感触が全身を駆け抜ける。
ゲーム内にログインすると、目の前にはアストラル君の姿ある。
『お待ちしておりました。皆さま、すでにお揃いですよ』
そこは重厚な石造りの広間、何ていうか古城?という表現がぴったり来そうな雰囲気のフロアだった。
目の前には、見知らぬ男女六人が興味深そうにこちらを見つめていた。
――これが、【魔王ラグナ】として迎える、魔王軍【六魔将】との初顔合わせの瞬間だった。
少しでも面白いと思って頂けましたら、評価をお願いします。下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります。
ブックマークも頂けると非常に喜びますので、是非宜しくお願い致します。
良ければ、感想もお待ちしております。
評価や、ブックマーク、いいね等、執筆する上で非常に大きなモチベーションとなっております。
いつもありがとうございます。




