1-5 愛と真心の姉妹神
むかしむかし、神の愛と真心から生まれた二柱の女神がいました。
その女神たちは人に愛と真心を与え教え導いた姉妹神でした。
名をククリヒメ、そしてキクリヒメといいます。
姉妹の女神は人間を深く愛し、人間たちもまたその女神たちを敬い慕いました。
イザナギとイザナミが対立しその結果として人間に「死」という宿命が与えられたことを女神たちは深く悲しみました。
この不幸をどうにかできないのか。
姉妹の女神はそう考え続けました。
女神たちは鬼の存在にも目を向けました。
もしイザナミの心の奥底にかつてイザナギを愛した心が残っているのなら。
その心から生まれた鬼たちにも愛と真心を与えることができるのではないか。
そうすれば人と鬼は共に生きられるのではないか。
姉妹の女神は多くの鬼たちに愛を教えました。
鬼たちは初めて他者を想う心を知りました。
しかし真心を与えることは許されませんでした。
それを黄泉の女王イザナミが拒んだのです。
イザナミは女神たちを疎ましく思って悪神と鬼からなる黄泉軍に姉妹神の命を狙うよう命じました。
女神たちはなおもイザナミに訴えました。
愛の必要を。
争いの虚しさを。
しかしその声が届くことはありませんでした。
姉妹神が狙われていることを知り高天原の神々は彼女たちを守ろうとしました。
それだけではありません。
女神たちから愛を与えられた人間たちもまた立ち上がったのです。
こうして姉妹神を巡り高天原の神々と人間は黄泉軍との戦争へと突入しました。
戦いの中で女神のために戦う人間の中から人の限界を超え神々と同じ力を振るう者たちが現れました。
彼らは命を惜しまず戦い人々にとって英雄となりました。
戦争は長く続き世界中の生きとし生けるものを巻き込みました。
自分たちを巡って繰り返される戦いと積み重なっていく犠牲。
女神たちはそれを悲しみ嘆いていました。
そして両軍が最後の決戦を覚悟して対峙した時、姉妹の女神は戦場の中央に姿を現しました。
姉妹神は両軍の目の前で自らの胸に剣を突き立てました。
二柱の身体からエメラルド色に輝く和魂が溢れ出しその光は世界を包み込みました。
光を浴びた悪神たちは退き黄泉の女王イザナミは姿を隠しました。
姉妹神の最期を見届けた者たちは愛と真心を知りました。
そして女神のために戦い人の力を超えた者たちはいつしかこう呼ばれるようになります。
超人と。




