表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/38

1-3 神話のはじまり


 はるか遠い昔のことです。

 世界はまだ存在しておらず、神様も生まれていませんでした。


 あるとき、金色よりも綺麗なエメラルド色に輝く、気の流れの和魂にぎみたまと、不気味に深い紫色に輝く、気の流れの荒魂あらみたま、二色のエネルギーのような存在が現れました。


 和魂と荒魂は混じり合い、やがて固まりとなって、ゆっくりと空間のようなものを創っていきました。

 しかし、その固まりは一つになることができず、やがてお互いが反発しはじめます。


 だんだんと大きくふくらみ、ついには上下へ二つに分かれてしまいました。


 和魂はどんどんと昇っていき、天となりました。

 荒魂は沈んでいき、地となりました。


 天と地が生まれたとき、天の方には神々の住む世界、高天原たかまがはらが生まれました。

 そしてそこに、アメノミナカヌシという神様が現れました。


 その後、さらに四柱の神様が生まれ、この五柱は特別な神々とされました。


 やがて、その中から、イザナギと、その妻であるイザナミという、二柱の夫婦神が生まれました。


 高天原の神々は、この二柱に天を降りて、不完全な下の世界を整えるよう命じました。

 イザナギとイザナミは、高天原から下界の芦原あしはらの国へと降り立ちました。


 二柱は、世界の形を創るための国生みと、自然や現象、物質を司る神々を生み出す神生みを始めました。


 こうして二柱は島々を生み、海の神、山の神をはじめとする自然の神々、そしてさまざまな現象や物質を司る神々を、次々と生んでいきました。

 やがて、人間も生まれました。




 しかし、あるとき悲劇が起こります。


 イザナミが火の神を生んだときのことです。

 イザナミはその際、体に深い火傷を負ってしまいました。


 夫であるイザナギが必死に看病しましたが、その甲斐もなく、火傷が原因でイザナミは命を落としてしまったのです。


 イザナギは深く嘆き悲しみました。

 その悲しみを抑えることができず、ついには亡き妻を追って、死後の世界である黄泉よみの国へと赴きました。


 黄泉の国には、イザナミが住む御殿がありました。

 イザナギは御殿の門の前に立ち、声をかけます。


「美しい我が妻よ。

 私とあなたが作る国は、まだ出来上がっていない。

 一緒に帰ろう!」


 すると、その呼びかけに応えるように、イザナミの声が返ってきました。


 しかし、イザナミは門の外へ姿を現すことはなく、イザナギにこう告げました。


「私はもう、この世界から戻ることはできません。

 ですが、あなたはこの世界へ、はるばる来てくださいました。

 あなたの気持ちに応えて、芦原の国へ帰りたいと思います。

 黄泉の神々と相談してまいりますので、

 その間、決して御殿の中を覗かないと約束してください」


 そう言い残し、イザナミは御殿の門を閉めました。


 イザナギは言われたとおり、門の前で待ち続けました。

 しかし、いくら待っても妻は戻ってきません。


 ついに待ちきれなくなったイザナギは、禁を破り、御殿の中へ入ってしまいました。


 御殿の中は真っ暗でした。

 イザナギは一本の火を灯します。


 その光の中で目にしたのは、姿が変わり、黄泉の国の神となったイザナミでした。

 イザナミは、黄泉の国の女王となっていたのです。


 驚いたイザナギは、思わず声を上げて逃げ出しました。

 その姿を見られたイザナミは、怒りに満ちた声で叫びます。


「よくも、私に恥をかかせたな!」


 イザナミは多くの魔物たち、黄泉軍よもついくさを引き連れ、イザナギを追いかけました。


 必死に逃げたイザナギは、黄泉の国と芦原の国の境にあたる黄泉よもつ比良坂ひらさかへと辿り着きました。


 そこでイザナギは、巨大な石を使って黄泉比良坂を塞ぎました。


 こうして、イザナギとイザナミは、巨石を挟んで向かい合います。


 イザナミは、石の向こうから叫びました。


「愛しい夫よ。

 あなたがこのような仕打ちをするのであれば、

 私はあなたの国の人々を、一日に千人殺してみせましょう。

 人間たちは、永遠とわに生きることのできない宿命を持つのです!」


 それに対し、イザナギは答えました。


「愛しき妻よ。

 それならば私は、一日に千五百の産屋を建ててみせる!」


 このとき、夫婦神は永久の決別をしました。


 そして世界は、一日に必ず千人が死に、千五百人が生まれるものとなりました。

 こうして人間は、寿命という死の宿命を持つようになったのです。


 そしてイザナミは、人間を殺すために━━鬼を造りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ