121:知識は吸収するが、順調とは言えない
――陽翔は、人の機微に鋭いらしい
そのことに気付いたのは、恋愛小説をランクアップさせたときだった。
「……は?陽翔が時々空気を読んでどっかに行く?」
「正確に言えば多分私の部屋かな。あの子達の羽ばたき音って変わってるから」
陽翔って2匹で飛ぶときってオスがメスを抱っこして飛んでくんだけど
そのときもメスは羽を動かすんだよね。
おかげで陽翔が居着いてからすぐに2匹が何処にいるのかわかるようになったとも言えるけど
「そういえばこの前メスの方がやれやれだぜって顔してたけど佐藤なんかあったの?」
「やれや……俺は何もしてねぇと思うけど」
佐藤は、ねぇ……多分その周辺なんだろうと思うけど
あの子が呆れるというかまったくしょうがないな的な顔をするってホントなにがあったんだ……
またお城行くときにでも騎士団のとこ覗いたらわかるかなぁ……
――もっとも、そのことに私は後悔することになるけど。当然私はそのことをまだ知らない……――
とりあえず今陽翔達はここにいない訳ですが……
これはもう私からちゅーってするチャンスではないだろうか。
小説読んでてなんとなく行動の仕方はわかった気がするし……よし。
私は佐藤の隙をついて目の前にある服の胸元のちょっと上くらいのとこを引っ張って
ガキンと失敗した。
「くっ……こんなはずじゃなかったんだ……」
「望月……それ、一応言っとくけど……そうそう成功するもんじゃねぇと思うが?」
「小説とかはよくこういうのあるのに……解せぬ……」
まだまだ勉強が足りないのかもしれないなぁ……
私はとりあえずそこで決意を改めた。
今度は身長差系のネタをメインに読もうと!
「ってそうじゃない。佐藤覚悟ー!」
やっぱり頬を潰した方がしやすいんだと気づいた。
にしても……やっぱり同じこと繰り返すのはダメだね。
次の手を考えなきゃ……
「あ、陽翔おかえりー」
「なんだ、もう終わりか」
佐藤は若干残念そうにも聞こえない声色でそう言ったけど
見てなくてもわかってるんだからな!?ニヤニヤしてるだろ!
「とりあえず検討するべきことはわかった気がする」
「おまえってホント、ずれてるよなぁ……」
「知らなかったことは今からしか知れないからね。よくわかんないけど仕方ない」
ひっそりと「わかってねぇのかよ」ってツッコミが聞こえたけど気にしない。
いつかきっと、大人向けのも読めるようになったらちゃんとわかる気がするし
……でも、ちょっとだけ久しぶりに漫画読みたいとか思っちゃうよね……
漫画なんてないんだよ、この世界は。
小説ばっかりなんだよ!!
まぁ、一部挿絵ついてるけど
陽翔は察するのが早いよって話




