不思議な少女
レンはカタルシスに襲われながら階段を下っていく。だんだんその歩調は速くなっていた。
だからきづかなかった、そこに誰かがいたことを。
そんなこともあり、その日のタケルはイライラしていた。期待した自分。裏切られた悲しさ。余計なことを言ったこと。全ては彼のシナリオでは最悪のパターンだった。不意に彼の左手に痛みが走る。左手を見ると、何だかひじから先が赤くなっていた。けがをしたわけでもなければ、病気というのも考えにくい。
あまり気にせず、タケルは学校を出て、夜食の買い出しに近所のスーパーに向かった。
スーパーに入る頃は、もう日も暮れかけていた。急がないと、また妹にやられる。タケルはそう思いながら、買い物用のカートを取ろうとした。すると向こうからも、それをとろうとした人がいた。気づかずぶつかる二人。
「すみません…!」
タケルは目を奪われた。とても可愛い女の子だった。庶民御用達のスーパーに、似つかわしくない、ハロウィンでもあるかのような衣装。ネコの頭飾り。マスコットのバイトだろうか。
「わ、わたしもそれがほしくて思わず手を伸ばしてしまったのだ。」
「いえ、こちらこそ、不注意でした」
少女はタケルの顔をみるや否や、その頬に涙が伝っていた。
タケルは混乱したが、周囲が明らかにタケルたちに注目していたので、場所をかえることにした。
「ば、場所が悪いんで、あっちでいいですか?」




