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猪突猛進ナル妹のビッグバン  作者: 月読カイト
三 そして妹はいなくなった
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天魔界のルール

「生きてて良かった」

 タケルはヒナタを抱きしめて言った。涙をこらえきれず、それでもその言葉だけは告げた。「生きている」という言葉はこの場合微妙である。スクルドの話を総合するに、彼女は既に「思念体」とか「幽体」という存在であり、この次元でしか存在しえないものに変貌していることは、誰の目を見ても明らかだった。しかしタケルにはそんなことはどうでもよかった。

「あたしは天使に戻っちゃったのね」

 妹はさびしそうにいった。タケルは妹の頭に手をのせて言った。

「帰ろうぜ、いつものところに」

「それができれば苦労はない。今ここは戦のただ中であり、彼女は選ばれるべくしてえらばれた天界の戦士だ」

 レオンはつらそうに答えた。ベルもうなずく。

「持ち場を離れるなど、天魔大戦のなかであってはならないルールだからね」

「そっちの理屈は知らないよ。俺はヒナタを連れて帰る」

「異世界から離れたものが、異世界に戻れるわけないだろ」

「じゃあお前は何で学校にいたんだ?」

「それはある魔王からの命令を受けてのことだ」

「じゃあ戻るのは可能なんだな?」

「それはルール違反だな」

 ベルはおとなしくなってそれに神妙に同意している。ヒトに分類されるタケルたちには、それが不思議だった。

「そんなルール、守らなくていいから…」

 クララはおずおずといった。


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