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猪突猛進ナル妹のビッグバン  作者: 月読カイト
三 そして妹はいなくなった
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魔王との戦い

 建物の外から小さな黒いものが、集まってくる。どこかで見たような生き物のようだった。

「ハエ?」

タケルは身近な生き物の登場に、肩透かしを食らった顔をした。それに反してレオンの表情は曇った。

「これは…まずいな」

もはや黒の群体と化したそれは、そのおびただしい数のせいで、周囲は闇と化した。羽音はクララの気を失わせるほどだったが、カレンがそれをとめた。

「ベルゼブブ王だ」

「それはなんだ?」

「魔界でも厄介な、低俗な姿からは想像できないが、ハイクラス、いやトップクラスの魔王だよ」

 それは集まって大きなハエになった。巨大すぎるハエは大声でしゃべった。

「よくもそのような矮小な勢力で、ここを訪れたものだ!ハハ!」

「妹を返してもらおう」

 タケルは恐怖に抗う気概で、それに対抗しようと必死だった。

「言葉は無粋よ。かかってくるがいい」

「剛力防御」

 レオンはまず全方向からの攻撃に備え、空間遮断フィールドを張った。

「明鏡止水」

 クララは全員の移動速度とチカラが増える魔法を詠唱しはじめる。

「フルパワーにゃ!」

 小さなカレンの耳は大きくなり、手足も肉球と爪がついた。体制を低くとりながら、攻撃姿勢に入る。尻尾は毛がさかだっている。その目は野獣のそれに近くなっていく。

 タケルは上着を脱ぐと、さっきの柄を取り出した。彼の胸の中心には丸い突起があり、そこには小さく呪文が刻まれている。タケルはそこにさっきの刀の柄を当てて、文字通り呪文を唱え始めた。その突起と刀は結合し、タケルはそれを引き抜いた。そこからは青白いヤイバが出現した。

「魔力を封じてあったんですね?」

 カレンは半獣になってもその異形の術に驚嘆した。

「うん、普段の魔力を全て、ここに集めているんだ」

「それはいつから?」

「小さい時から、かな」

 カレンは驚嘆した。それが延々と蓄積されているのならば、あの胸の部分には膨大な魔力が蓄積されていることになる。

「妹を返せえぇ!」

 タケルは吠えて突進した。それはクララの補助魔法が詠唱を終えるぎりぎりだった。みなのスピードとパワーがアップした。

「虚空一閃!」

タケルはそのカタナを全力で振った。するとそのヤイバは長さをどんどん増し、どこまでも続く長さになった。それは巨大な魔王を4回切り刻んだ。

「爆発ねこパンチ」

 カレンのパンチがその破片を直撃すると、そこから放射状に爆風が広がっていき、その破片は黒焦げになっていく。

「空間断絶」

 魔族系の魔法が通用しないため、レオンは空間を切る魔法を即座に発動した。

「魔法防御」

クララは詠唱していた魔法を顕現した。みなを護るためだ。



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