堕天使の所業
「とりあえず、保健室のベッドを借りましょう」
カレンは明るく言った。
ほどなく妹は目を覚ました。
「あれ?どうなったの?」
途中から気を失ったふりをしていた妹は、実際、よくわかっていなかった。
「レオンは堕天使ですが、悪い堕天使ではない、ということです」
カレンは穏便にいった。
「ええ?あの顔は、どう見ても、邪悪だったわ」
ヒナタにとっては、レオンもクララもカレンも気に食わないのだから、仕方がない。
「そうね。まさか、レオンが『堕天使』で、みんなに魅惑の魔法をかけていたなんて」
クララも動揺を抑えきれていない。自分に魔法にかかっていたことすら、信じられないという顔だ。
「魅惑の魔法も、使い方だよ」
いつのまにか、レオンは目覚めていた。
「瞬間、瞬間で使えば、効果的だし、魔力も抑えられる」
「レオン。お前は、俺たちに説明する義務がある」
タケルは冷淡にいった。
180cmを、ゆうに超える細身の美男子は、漆黒の羽をさらけ出し、ベッドに腰掛けた。
「すまなかった。ただ、チャームはあまり使っていない」
「そのままで、充分イケメンだ」
タケルはレオンを非難した。
「タケルのことは、親友だと、俺は思ってるよ」
レオンは得意の笑顔をした。魅惑を使う意味はないほど、朗らかな笑顔だ。
「ただ俺は人間とつきあえない。だからタケルとクララには、うまくいって欲しかっただけだ」
「クララの気持ちは、無視してもか?」
タケルはムッとしている。
「クララの気持ちがわかっていたからこそ、だ」
レオンははじめて、強気な顔でタケルに言った。
「お前は鈍いんだよ、何事も」




