餅の消費が禁止になりました
2025年、餅を詰まらせる老人が相次いだ。ついに政府は餅の消費を禁止させる事を決定した。
餅メーカーへお粥の生産に変える決定も下す。政府は「思いやりお粥」として、お粥の消費を国民に半ば義務とした。法律的には義務ではなかったが、メディアやネットの雰囲気では「お粥を食べない人は非国民!」という同調圧力が形成されていた。ちょっとでもお粥好きじゃない、お粥よりパン派、米のアレルギーがある等と発言したら「反お粥派の陰謀論者」と叩かれた。中にはこんな同調圧力に負け、退職させられる反お粥派もいるらしい。
Nはお粥メーカーに勤める契約社員だった。元々はお餅メーカーだったが、この騒ぎで会社の業績は鰻登りで、政府からの助成金もあり潤っているらしい。
会社内はお祭りムードだが、長年非正規でいいように使われてきたNは納得がいかない。社員にはボーナスが振舞われていたが、Nには残業を押し付けられた。腹いせに廃棄処分するはずの餅をフリマアプリで転売していた。
今は餅が禁止されていたので、フリマアプリ内の餅はプレミアがついていた。もっとも露骨に転売はできないので、「モチモチした喉につまるもん」という名前で、お得意様だけに専用出品した。今はこんな闇餅も盛んだという。ちなみに餅つき機、臼や杵に至るまでもプレミアがついている。
この騒ぎで老人が餅を詰まらせる事故は減っているという。めでたし、めでたし。実に喜ばしい事だ。
最近は子供が茹で玉子を喉に詰まらせる事故が多発しているらしい。政府は玉子の消費も禁止する事も検討中だという。




